定年を迎えることに憂鬱で心配な方に向けて経験者が著した一冊!-『定年前、しなくていい5つのこと 「定年の常識」にダマされるな!』大江 英樹著(光文社新書)

・今回は、FP協会全国イベントにおいてご本人の講演を拝聴したこともある大江英樹氏の記した『定年前、しなくていい5つのこと 「定年の常識」にダマされるな!』をご紹介します。2020年12月刊行。

・著者を知ったのは雑誌のコラム記事でした。2019年6月初めに出された、金融庁の市場ワーキング・グループがまとめた報告書が世間を騒がせた「高齢者資金2000万円不足問題」というのが起こりました。

・2000万円の根拠というのは、高齢無職夫婦世帯の毎月の生活における不足額が、月に5.5万円となっているところにある。この不足額が30年続くという前提であれば、累計で赤字が2000万円近くになるというものでした。

・これに分かりやすい形で反論したのが著者でした。

・著者曰く、“赤字”と表現するのはそもそも不適切。なぜなら、家計調査のデータには、同じく高齢無職夫婦世帯の平均純貯蓄額として2484万円という数字が出てくる。ということは、別に2000万円不足しているわけでも何でもなく、平均的には仮に不足額が生じて貯蓄を取り崩したとしても、まだ500万円近い貯蓄が余るということになる。

・「赤字」ありきという議論は、根本的に認識が間違っている。とても分かりやすく、すっきりした説明でした。そこから、著者のコラムや著書をフォローするようになりました。

・本書では、退職後8年を経過した著者が、自身の体験と豊富な取材・知識にもとづいて、老後の不安解消のための考え方を具体的に指南しています。

・引き続き、お読みいただければ嬉しいです。

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【目次】

第1章 お金の心配、する必要はナシ!
1 「年金2000万円問題」の嘘 /2 年金は絶対に破綻しない …ほか
第2章 サラリーマン脳は捨てよう!
1 「仕事のイメージ」が180度変わった私 /2 再雇用で働くのはおやめなさい …ほか
第3章 夫婦で旅行なんて行かなくてもいい
1 【異論!】定年後の夫婦のありかた /2 男性目線のクサいテレビCM …ほか
第4章 地域コミュニティとは付き合わなくてもいい!
1 地域コミュニティは伏魔殿 /2 困った“マウンティングおやじ”たち …ほか
第5章 趣味がなくても一向に平気!
1 定年後に趣味を始めて失敗するパターン …ほか
第6章 でも、これだけはやっておこう
1 早く“成仏”すべし /2 ちょっと無理する日常生活で健康維持 …ほか
第7章 人生は60歳からが面白い
1 「人生100年」と言うけれど… /2 今までたいした仕事なんてしてこなかった …ほか

目次

  1. 1.本の概要
  2. 2.著者のプロフィール
  3. 3.本書から得られたもの

1.本の概要

・大手証券会社を定年まで勤め、その後起業した著者が、8年間の「定年後」をリアルに語った本。

・定年を実際に経験してみると、定年後の生活はお金にしても仕事にしても、それほど心配する必要はない。むしろ、不安に煽られて間違った行動を起こす方がよほど危険である。

・「してはいけない5つ」とは、「お金」「仕事」「夫婦」「地域コミュニティ」「趣味」に関する「べき」「ねばならない」という事柄。

・例えば、「お金」でいえば、退職金を元手にした投資や、「夫婦」でいえば、共通の趣味を持ってベッタリくっ付いていることは「してはいけない」!

・「仕事」に関しては、再雇用は勧めない。リスクを極力減らし、自分のスキル・ノウハウを発揮できる分野の定年起業を勧める。

・いつまでも会社人生にこだわらず、新しい人生に向かう。定年でせっかく会社から自由になったのだから!

・定年後、夫婦間で大切なことは、夫が家事をすること。妻や家族の負担を減らしましょう。妻のスケジュールは固まっている、夫は乱入者と思え!

・趣味は無理して始めることはない。勉強することも趣味の一つ。

・たった一つだけやってはいけないことがある。それは「人に迷惑をかけること」です。

2.著者のプロフィール

・大江英樹。1952年大阪府生まれ。経済コラムニスト。オフィス・リベルタス代表。

・大手証券会社に定年まで勤務し、2012年に独立。

・独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研究・執筆活動を行っている。

・CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。

・著書に『定年前』『資産寿命』(ともに朝日新書)、『「定年後」のお金の不安をなくす』(総合法令出版)など多数。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。)

3.本書から得られたもの

・本書からは次のことが得られました。

・著者は、定年後、お金も仕事もそれほど心配することはない、「楽園」とすら思える、と言います。しかし、退職前の自分はあまり楽観視してばかりもいられません。定年した先人の見解として、抑えておきたいです。
・お金の事に関しては、退職金の使い方および年金の受給額増額が勉強になりました。家計をスリムにすることが定年前の資金計画の第一歩です。
・定年起業や個人事業主(フリーランス)勧めていますが、それを意識した会社員人生の後半の過ごし方と周到な準備があっての起業です。
・夫婦の話しには、わたしも勘違いしていました。これまで一緒に居てあげられなかったから、「一緒に居よう!」なんて、定年夫の思い上がりですね。確かに奥さんのスケジュールには、夫の占める割合は小さいです。
・家事を今以上に頑張ろうと決意しました!
・そのためには、第6章にある会社人生からの“成仏”がとても大切なのだと感じます。早く成仏する!目からウロコです。いつまでも会社人生を引き摺らない生き方に共感します。
・マインドセットの転換が重要であり、定年後には今まで頼るだけ頼ってきた会社がもうないわけですから、自分で自分の人生を切り拓いていく「責任ある自由」が求められます。
・改めて、自分の人生後半は、自分がどうしたいのか自身で考えることが大切だと気づかされました。

・興味のある方は、是非、ご一読ください。