定年後を自分らしく働くための50代からの心がけ-『定年格差』郡山史郎著

『定年格差 70歳でも自分を活かせる人は何をやっているか』(郡山史郎著、青春出版社)です。

郡山史郎さんの著書も、5年ほど前から拝読させていただいております。

ご高齢にも関わらず、人材紹介会社の経営者でもある著者の、現実を直視した切れ味抜群の文章にいつも勉強させられています。

引き続き、お読みいただければ嬉しいです。

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【目次】
はじめに
序章 「定年消滅時代」がやってきた!
「70歳定年」は、百害あって一利なし/「人生100年時代」という大変化 …ほか
第1章 知られざる「3つの定年」
定年は「差別」である/第1の定年「形式定年」 …ほか
第2章 「70歳定年」にダマされてはいけない!
「70歳定年」が「実質定年」の重要性を高める/高年齢雇用安定法とは何か/再雇用の落とし穴…ほか
第3章 コロナはシニアの転職をどう変えたか
コロナ禍が転職市場に与えた影響/転職市場の主役は30代~40代 …ほか
第4章 「定年格差」を乗り越えるための10の条件
世の中が変わらないなら、自分が変わろう
第5章 シニアも当たり前に働ける社会をつくる
人生の時間は限られている/「定年延長」だけでは解決にならない …ほか
おわりに

目次

  1. 1.本書との出会い
  2. 2.本の概要
  3. 3.著者のプロフィール
  4. 4.本書から得られたもの

1.本書との出会い

この著者の本と出合ったのも今から5年前の2017年。私が57歳のときでした。

その頃の私は、60歳を分岐点に、前の会社に疲れ、その先の仕事や働き方をどうしようか考え始めていたころです。

そんななか、シニアの転職事情はどのようになっているのか、興味があり調べていました。

とある雑誌の記事で郡山史郎さんのインタヴューを読んだのがきっかけで、はじめて著書の『定年前後の「やってはいけない」 人生100年時代の生き方、働き方』(青春出版社、2018年4月発行)を拝読してから、人生の参考にするようになりました。

2.本の概要

・定年後、うまくいっている人といかない人はますます差がつく!

・2021年4月から施行された「70歳定年法」で、70歳までの就業機会の確保が努力義務となったことにより定年が延び、いよいよ「生涯現役=定年消滅」時代がやってくる。

・しかし、今のままで70歳まで安泰と思うのは大間違い。

・5000人以上の再就職をサポートしてきた人材紹介のプロの眼からみたら、「70歳定年」制度は愚策としか言いようがないと著者は突き放します。「百害あって一利なし」とまで…。

・AI(人口知能)などテクノロジーが日々、凄まじい勢いで進化、浸透している激流の時代を生き残るために、企業が本当に欲しいのはシニアではありません。若い世代が欲しいのは当然。

・定年が実質的に70歳まで延びることは、企業にしてみたら「本当はいてほしくない人」「そろそろ出て行ってほしい人材」をさらに抱えることになります。

・この対応で、企業は早めに手を打ち始める。早期退職制度、役職定年、減給制度など。言うなれば、定年が早まる制度が直撃します。

・しかしながら、シニア自身の価値がなくなったわけではないのだから、「マインドセットの変革」が必要だと著者は訴えます。

・具体的には、「同じ給料」「似たようなポスト」「これまでと似た仕事内容」の“惰性3点セット”の考え方はすべていったん捨て去る。

・50歳を過ぎたあたりから、ビジネスパーソンは新しい軸を持って生きなければならない。

・きちんとした備えをしておかないと「定年格差」はますます広がっていく可能性がある。

・その軸とは、「好き」「得意」を掘り下げて、そこに少しでも近い地点で働くことが幸せの秘訣と説きます。

3.著者のプロフィール

著者は、1935年生まれの御年87歳。株式会社CEAFOM代表取締役社長。

1958年一橋大学経済学部卒業後、伊藤忠商事を経て、1959年ソニー入社。

38歳で73年米国のシンガー社に転職後、45歳のときに盛田昭夫会長(当時)のラブコールで81年ソニーに再入社、85年取締役、90年常務取締役、95年ソニーPCL社長、2000年同社会長、02年ソニー顧問を歴任。

その後、定年を迎え、「何か世の中の役に立つことをしたい」と68歳の04年、プロ経営幹部を紹介する株式会社CEAFOMを設立し、代表取締役に就任します。

人材紹介業をおこなう傍ら、これまでに5000人以上の定年退職者をサポート。著書に、ベストセラーとなった『定年前後の「やってはいけない」』、『転職の「やってはいけない」』(小社刊)などがあります。

事業のほうは、中高年になっても現役として働きたい人材を企業の経営職・管理職として紹介する事業であり、ソニーとは全く畑違いの仕事だが、「人生のセカンドハーフはできるだけ今までやってきたことと違うことをしたかった。人生の前半戦は出世競争とか家族のことなどいろいろあるが、それから解放されて好きなことを自分で決めてやるのが後半戦です」と強調します。

4.本書から得られたもの

本書からは次のことが得られました。

・働くことは幸せだと認識できます。定年後の長い人生、「働き続けること」が何より大切です。
・「定年延長」だけに任せていては、解決にならない。
・国も企業もあなたのことを本当に考えていません。自分自身が頼りです。
・シニア転職難の時代。転職市場で、いまや最も大切なルートは「縁故」です。
・常にいろいろなコミュニティでつながりを途切れないようにしておきましょう。
・シニアの第二の人生は、過去を捨てられる者が未来を生きられる。
・働く先を一つに絞らない働き方も可能です。
・定年後に備えて、できるだけ早い年齢から準備をしておくことが大切です。
・「自分にとっては何が幸せか」を見極めて、出来る限り楽しめる領域で過ごすほうがハッピーです。

興味のある方は、是非、ご一読ください。