ほそだ宮の森事務所通信  2025年6月号 終活と相続にまつわる「いま知っておきたい話題」をお届けします!

いつもお世話になっております。

行政書士ほそだ宮の森事務所((一社)いきいきライフ協会札幌宮の森) 代表の細田健一です。

終活と相続にまつわる最新の情報について、法律の解説や身近な話題などを取り上げてレポートいたします。お仕事や家事の合間にお読みください。

シングルの方はご友人と、お連れがいらっしゃる方はパートナーさん、ご夫婦で、親世代がいらっしゃる方はご一緒に、「前向き終活!」「失敗しない相続!」を考えていきましょう。

また、高齢者福祉、障害者福祉、医療・看護、葬祭業、施設関係等各分野の業務のお役に立つことができましたら望外の喜びです。


<今号のもくじ>

1 安心コラム 成年後見制度見直しで中間試案 後見人終了の要件明確化、終身制撤廃へ
2 終活の窓 事例で学ぶ「リビングウイル」と「死後事務委任契約」の大切さ ~「もしも」の時にひとりじゃないために~
3 活動報告 「終活・相続セミナー&相談会」を開催中!!

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1 安心コラム 成年後見制度見直しで中間試案 後見人終了の要件明確化、終身制撤廃へ

★認知症などで判断能力が衰えた人の代わりに契約や財産管理を担う「成年後見制度」の見直しを議論する法制審議会 (法相の諮問機関)の部会は10日、中間試案を公表。その概要を報告します。

現行では事実上、ほぼ終身契約となる後見人の選任に関し、制度利用を終了させる手法・要件を明確化させる3 つの案を示しました。今後、パブリックコメント(意見公募) を経て年内の要綱案取りまとめを目指す方向です。
国内では高齢化率が上昇を続け、令和5年10月時点で29・1%。成年後見制度は今後、さらに需要の増加やニーズの多様化が見込まれます。
ただ、現行制度では、判断能力が衰えた後に家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見」 で、利用者の判断能力が回復しない限り利用をやめられず、事実上終身契約になることが課題とされてきました。受けたいサービスが変化したり、後見人が原則全ての契約の代理権を持つことで本人の決定権が必要以上に制限されたりする場合がありました。


中間試案では3案を提示し、制度の利用を終わらせることができるようにするほか、後見人の代理権も現行制度より狭める方向で検討し、本人の決定権を尊重。
また、現行制度では不正行為などを解任要件としていますが、ニーズの変化を理由に解任し、別の後見人と契約できるようにするなど、要件を追加する案も盛り込まれました。


政府の推計では、認知症の高齢者は2025年に471万人で、40年には584万人となります。最高裁によると24年12月末時点の成年後見利用者は前年より約4千人増の約25万人で、伸び悩みが指摘されています。利用控えを減らし、ニーズの高まりに備えるねらいがあります。

2 終活の窓 事例で学ぶ「リビングウイル」と「死後事務委任契約」の大切さ ~「もしも」の時にひとりじゃないために~

★本事例の基本状況 (注:実際のものに加工を加えています。)

〇相談者:姪っ子Aさんと叔母Mさん(82歳)、女性、一人暮らし。

〇家族:Mさんは10年以上一人暮らしを続けている。子どもはいない。夫とも早くに死別。Mさんの兄の娘であるAさんは、胆振の都市にご家族とお住まい。Mさんのお身内として関係を維持している親族はAさんしかいない。Aさんは、たまに様子を見にMさんに会いにくる。

〇相談内容:姪っ子AさんとMさんのお二人で面談。

姪っ子Aさんの話し

『叔母が、最近、「もし私が突然倒れたらどうなるのかしら」とつぶやいたのです。病気の兆候でもあるのかと心配しましたが、どうやら「延命治療は受けたくない」「亡くなった後、誰に連絡してもらえばいいのか」など、自分の“最期”についてきちんと決めておきたいという意思でした。そこで私は専門家の力をお借りして、「リビングウイル」と「死後事務委任契約」の手続きをしようと、叔母にすすめることにしました。』

■ リビングウイル:本人の希望を医療現場に伝える力

Mさんと数度の打合せを重ね、リビングウイルに記したのは、主に以下の3点でした。
1. 回復の見込みがない場合は延命治療を希望しない
2. 苦痛の緩和を最優先してほしい
3. 判断能力を失ったときは、姪のAさんに相談・判断してもらいたい

この文書は公正証書で作成し、医療機関やかかりつけ医、姪っ子さんにも共有しました。その約半年後、実際にMさんは自宅で倒れ、救急搬送されたのです。

意識は戻らなかったものの、医師はリビングウイルの内容を確認し、Mさんの希望に沿った対応をしてくれました。延命装置を避け、痛みを緩和するケアを受けることができ、穏やかな時間を過ごして旅立っていきました。

もしこの文書がなければ、医療の判断を姪っ子Aさんが背負うことになり、Mさんの希望とは真逆の延命措置を医師に求めていたとおっしゃていました。Mさんのご意思が尊重される結果になり、安堵されていました。

■ 死後事務委任契約:遺された人への配慮

Mさんは、さらに公正証書で「死後事務委任契約」も結びました。これは、亡くなった後に必要な手続きを代行してもらう契約です。受任者は、受任者サイドに万が一のことがあっても大丈夫なように、法人にしました。これで安心。


契約の内容には以下を含みました:
・火葬や埋葬の手続き
・自治体への死亡届の提出
・公共料金や家の解約
・家財道具の整理や不用品処分
・親戚・知人への通知
姪っ子Aさんが、道内の他の都市にご家族と一緒にお暮らしになっており、仕事を抱えていたため、すべての手続きを一人で担うのは難しかったという事情がありました。

当方で遺品整理も手配し、近所への連絡や葬儀も小規模ながら無事、執り行いました。

■姪や甥、子ども世代の皆さまへ

「終活」と聞くと本人任せになりがちですが、実は家族より近い“姪”や“甥”の存在が、大きな支えになります。

もしあなたの周りにひとり暮らしの高齢の叔母さん(叔父さん)がいるなら、「もしものとき、どうしてほしい?」そんな一言をきっかけに、リビングウイルや死後事務委任契約の話をしてみてください。

面倒な手続きも、専門家に頼めばサポートしてもらえます。あなたの声かけが、大切な人の“最期まで安心”をつくる第一歩になります。

3 活動報告 「終活・相続セミナー&相談会」を開催中!!

★札幌市西区西野地区で毎月開催している「終活・相続セミナー&相談会」のご案内です。

今月は、第4回6月21日(土)、第5回7月19日(木)、第6回8月23日(土)をご案内します

いずれも参加しやすい土曜日開催としておりますので、お近くの方はお気軽にご参加下さい。親子、ご家族での参加大歓迎いたします。

なお、事前申し込みが必要です。

※巻末の「お問合せはこちら」のQRコードから連絡先等を記入しお申込みください。

・6/21(土) 10:00-12:00 「認知症になっても困らない財産管理について」  西野昭和会館1階(定員20名)

・7/19(土) 10:00-12:00 「相続トラブルを起こさないための生前対策」 西野第一会館1階(定員20名)

・8/23(土) 10:00-12:00 「失敗しない遺言の書き方、使い方」  西野昭和会館1階(定員20名)


あとがき>

札幌は祭りのシーズンを迎えています。

「さっぽろライラック祭り」が終わったと思ったら「YOSAKOIソーラン祭り」があり、6月8日、盛会のうちフィナーレを迎えたようです。

同時に開催していたのが、知る人ぞ知る「第6回さっぽろ落語まつり」。少しレアかも知れませんが、わたしは毎年、参加して多いに笑わせていただいております(笑)。笑門来福!

次の祭りは、「北海道神宮祭」。開催期間は2025年6月14日(土)~6月16日(月)。

北海道神宮例祭は「札幌まつり」とも呼ばれ、100年以上の歴史を持つ伝統的なお祭りです。

祭りの期間中、北海道神宮の境内に多くの屋台が立ち並びます。さらに、中島公園でも屋台が立ち並び、市全体が祭りの熱気に包まれます。

特に、6月16日に行われる神輿渡御は、見どころの一つ。9基の山車を含む総勢1、000人の行列が市内を練り歩きます。笛や太鼓の音が響き渡る中、華やかな行列が札幌の街を巡る光景は、夏の訪れを告げる風物詩として、多くの人々に親しまれております。

今年は屋台を巡り、味噌おでんを食べたいなぁ(^^)/

次回も、安心して未来を迎えるためのヒントをお届けします。

\(^o^)/