親の家に手すりを付けたいのですが介護保険を利用できますか?
段差解消や手すりを付けて移動しやすいようにするなどの親の家の改修について、介護保険を利用する方法をみていきます。
引き続き、お読みいただければ嬉しいです。
目次
- 1.介護保険の対象となる住宅改修について
- 2.住宅改修費の支給申請の流れ
- 3.まとめ
1.介護保険の対象となる住宅改修について
介護保険制度には、「居宅介護(介護予防)住宅改修費」という項目があります。
介護保険の対象となる住宅改修をすると、費用の9割(一定の所得がある人は8割、とくに所得が高い人は7割)が支給されます。ただし、要支援・要介護区分に関わらず「支払限度基準額」は20万円と定められています。
つまり、改修にかかった費用のうち支給申請できるのは20万円までということです。
したがって、自己負担割合が1割の人は18万円まで、2割の人は16万円まで、3割の人は14万円まで補助金を受け取れるという計算になります。なお、基準額の上限を超えた分については、全額自己負担となります。
介護保険の住宅改修費の支給対象となる工事の種類は、厚生労働省によってあらかじめ次の6つに定められています。
「福祉用具購入」や「福祉用具貸与」といった介護保険の別の支給対象となるものは、住宅改修費の対象外となっています。
《工事の種類》
①手すりの取り付け
廊下、玄関、階段、トイレなどに手すりを付ける工事。移動のしやすさの向上や転倒防止対策に役立つものです。手すりの形状は、二段式、縦付け、横付けなどが適切なものとされています。
②段差の解消
リビング、廊下、トイレ、浴室などの段差や傾斜を解消するための工事。具体的には、敷居を低くしたり、スロープを設置したり、浴室の床をかさ上げしたりといった工事が想定されます。
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
リビング、階段、浴室などに使われている滑りやすい床材を滑りにくい床材に変える工事。たとえば、畳敷きから板製床材やビニル床材に取り替えるなどが想定されます。また、車椅子が使いやすいように畳の床をフローリングに変更することなども可能です。
④引き戸等への扉の取り替え
開き戸を引き戸や折戸、アコーディオンカーテンなどに変更する工事。扉の全体の取り替えだけでなく、握力が弱くなると開閉しにくいドアノブの変更や、扉を動かしやすくするための戸車の設置なども含まれます。
⑤洋式便器等への取り替え
和式トイレを洋式トイレに取り替える工事。立ち座りの負担を軽減し、トイレを使いやすくすることが可能になります。また、現在使っている洋式トイレをより立ちあがりしやすい洋式トイレに取り替える工事なども対象です。
⑥その他1~5に付帯して必要となる住宅改修
2.住宅改修費の支給申請の流れ
まずは担当のケアマネージャーに現在の生活で支障をきたしている部分を伝え、介護保険の住宅改修費の利用を検討します。
改修することが決まったら、工事を担当する事業者に下見に来てもらいます。そこで改修の希望などを伝えます。
その下見の結果を元に、事業者が住宅改修プランを作成します。改修プランや費用見積もりなどを吟味したうえで、最終的に契約するか否かを決定します。
工事の契約が決まったら、利用者は住宅改修の支給申請書類の一部を市区町村などの保険者に提出します。保険者は提出された書類などから、支給対象として適切かどうかを確認します。
事前申請にしたがい工事を行います。
工事が終了したら、利用者は領収書など発生した費用のわかる書類などを保険者に提出します。その時点で、正式な支給申請が行われます。
保険者は、事前に提出された書類との照合や、工事が実際に行われたかどうかの確認などを行い、あらためて支給対象として適切かを判断します。そこで支給が必要と認められてはじめて改修費が支給されます。
住宅改修の支給申請にあたって必要となる書類は、工事の事前に提出するものと事後に提出するものの二種類があります。申請書類で不明な点は、自分の住む市区町村の介護保険窓口に相談するようにしましょう。
3.まとめ
介護保険の住宅改修費は、こういった制度があることを知らずにリフォーム業者に任せてしまうと、業者も制度のことを知らず、制度利用の申請をせずに工事をしてしまい、全額を自己負担することになってしまうことにもなりかねません。
今すぐには利用しなくとも、こういった制度があることと、制度の概要は少なくとも覚えておきたいものです。
そして、いざというときには、しっかりと介護保険の制度を活用するようにしましょう。