親の介護費用の負担は誰がするの?(1)介護の方針・スタイルを決める
親のお金・資産で賄うのか、それとも子供がお金をだすのか?兄弟姉妹がいる場合に、誰が親の介護に関す物心両面の面倒をみるのか?
揉めそうな話しですね。事前の備えが大切です!
引き続き、お読みいただければ嬉しいです。
目次
- 1.介護費用自己負担の目安:復習
- 2.費用の負担は誰がするの?
- 3.費用負担の準備(1)介護の方針・スタイル
- 4.費用負担の準備(2)メインとなる介護者、役割分担
- 5.まとめ
1.介護費用自己負担の目安:復習
以前、介護費用がいくらくらい掛かるのか述べました。
ある損害保険大手の調査では、同居介護で平均655万円、施設介護で平均1164万円というものでした。
調査機関によっては多少の相違があります。別な調査では、一時費用は平均69万円、月々の費用平均7.8万円となっています(介護保険サービスの自己負担費用を含む)。
介護期間は平均54.5ヵ月(4年7カ月)のため、目安は約500万円という試算もあります。
月々平均7.8万円も、介護のスタイルで大きく変わります。在宅介護の場合、平均5万円/月、施設介護で平均15~30万円となっています。
2.費用の負担は誰がするの?
介護費用の目安は確認できました。その費用は誰が負担するのでしょうか?
親の介護費用は親のお金、資産を充てるのが一般的です。これは子供にとってはとても重要な事実ですね。
介護には医療費や介護保険のサービス利用料、おむつ代など、介護をはじめるとさまざまな費用が必要となります。
遠距離介護の場合は、実家に帰省するための交通費もバカになりません。
こうした費用を、介護する側である家族、なかでも子ども側が負担し続けていくのは厳しい話。無理を重ねて介護費用を何年も負担し続けた結果、自分自身が要介護状態となったときにまったくお金が無いといったことも起きます。
介護に必要となる費用は、原則として要介護者の収入や預貯金、資産などからまかなうようにしましょう。
それだけではどうしても不足する場合のみ、子ども側に無理がない範囲で費用の援助を行うといった考え方が重要です。
厚生労働省の調査では、介護費用は介護を要する者あるいはその配偶者の収入や貯蓄を充てている場合が大多数を占めています。
それ以外の者の収入・貯蓄を充てているのは9.1%でした。つまり、多くは要介護者本人あるいは配偶者のお金を充てています。これでわかっていただけましたでしょうか。
ただし、親の経済状況や希望する介護サービスによって異なるので、全く子供の費用負担がゼロとはいえません。
負担が発生したときに慌てないような備えが必要です。
3.費用負担の準備(1)介護の方針・スタイル
親の介護費用は子供が負担する可能性があることが分かりました。
親と兄弟姉妹の間で、どのように負担するのか事前に話し合って準備することが非常に重要になってくるのです。
金銭が絡む話題は身内内のトラブルに発展しやすいため、なおさらキチンと兄弟姉妹間で話し合うことが大切です。
話し合いの中で決まったことは記録に残し共有して認識合わせしておきましょう。後から「言った」「言わない」の争いを防ぎ円滑に進めるためです。
準備の一つ目は、介護方針・スタイルです。
親の介護に対する考えを確認します。今の家に住みたいのか、子供たちの近くに住み替えたいか、施設に入居したいかなど親本人も自分の希望を持っているはず。これは途中で変わることもあります。
希望する介護のスタイルによって、必要な費用や時間がイメージできます。
4.費用負担の準備(2)メインとなる介護者、役割分担
次に重要な要素ですが、介護に付きっ切りになる人が必要なのか、近くにいて介護するのか、遠距離で通うのかなどを決めます。同時に、主な介護者を決めます。
配偶者の場合は、あまり問題にはなりませんが、子供となるとその家族も巻き込むことになりかなり難しい選択です。ご家族と話し合うことも必要です。
主な介護者の役割は、①メインで介護をする、②医師や地域包括支援センター、介護事業者、ケアマネジャーの窓口となって手続きややり取りをする。③日々の介護スケジュールの管理を行う。
役割はそれぞれ担当を分担することもできます。
また、メインの介護者にすべてを任すのは、たいへんな負担を押し付けていることにほかなりません。
週末は交代できる、介護休暇を取れるなど、各自ができる限り肉体的・精神的な負担を減らすような関わり方をしていくことが大切になります。
5.まとめ
今回は、費用負担のこと。親のお金・資産で賄うのか、それとも子供がお金をだすのか?兄弟姉妹がいる場合に、誰が親の介護に関す物心両面の面倒をみるのか?について、はじめにみてみました。
後半では、具体的に費用負担の準備として、介護方針・スタイル、主な介護者を決める点を述べました。