✅「役職定年」制度を廃止する企業が増えているという!✅わたしも感じた「消化試合」「あがり」感!🌈喜んでばかりもいられない?🌈不機嫌な中高年はますます「厄介者」になっていく!
1.NECで「役職定年」制度が生まれてから廃止されるまでの軌跡!
・「役職定年」制度は、組織の新陳代謝と人件費抑制を狙った制度であり、したがって、収入も平均2割程度ダウンする。
・意欲を失う人も多い。わたしもその一人でした。
・こうなると、定年退職までは「消化試合」であり、「わたしは、もうすぐあがりだから」という感覚に陥ります。これは本人にとっても会社にとってもたいへん不幸なことです。
・ここから立ち上がり、同じ会社で別な職種に転身したり、転職したり、起業するには、余程の大きな駆動力が必要です。
・役職定年制度の成り立ちを振り返ると、定年がまだ55歳だった1986年、60歳までの雇用を努力義務とする高年齢者雇用安定法が施行されたことで広まりました。シニア層が長く管理職にとどまると世代交代が滞り、日本独特の年功型の賃金体系ゆえに総人件費も膨らみます。そこで一定年齢になると役職を外し、賃金も抑えることで問題を解決しようとしたのです。
・労務行政研究所の2022年の調査では29.1%の企業が導入しており、課長は55歳、部長は58歳での線引きが最多だと、記事は言います。
・また、法政大学とパーソル総合研究所の2017年の調査では、年収は平均で23.4%もダウンしています。
・さらに、記事では次のように、続けています。
“仕事と収入が激変し、モチベーション維持や生活設計の見直しが必要な節目だが、多くの働き手は「現実的な準備をせず『見て見ぬふり』をしている」とパーソル総合研究所の小林祐児・上席主任研究員は指摘する。”
・わたしも、正に「見て見ぬふり」をした一人でした。そもそも、定年以降の生活設計させ持ち合わせていませんでした。
・ここでNECの具体的な役職定年制度をみてみます。対象者は、①56歳で一律に管理職を外されます、②給与は1~2割下がります、その結果、③スキルがある人ほど転職するという、ものでした。企業のメリットとしては、①若い世代に確実にポストを回し新陳代謝を促進できる、②人件費の総額を浴せいできる、というものでした。
・では、制度の廃止後にどうなったかを比較してみます。役職定年で、かつて管理職で定年を待つだけだったシニア層の①約1000人が管理職に復帰しました、②ポスト・成果次第で給与が上がります、その結果、③60歳定年まで意欲を保ちやすく、働くモチベーションが上がります。これには副反応が伴いまるが、その対策はというと、①実力主義が強まり公平な評価が不可欠になります、②総人件費が膨らむ分、成長が重要になります。
・この制度廃止の背景には何があったのか。記事から拾ってみると、2018年の人事制度改革の一環であり、NECが再起をかけた経営戦略を実行するには人材の力が必要だったのです。年齢ではなく能力で人材配置をする必要があることを再認識した形です。さらに、先に触れたように、役職定年を迎えるとスキルの高い人から転職していく弊害も放置できなかったのでした。
・しかし、シニア層にとって良い面ばかりではありません。
・NECでは、人材組織開発部長が、そのポジションに必要なスキル・行動にかなっていない場合は年齢にかかわらず常に役割変更を行うことを社内に発信しました。そして、次のようになりました。
“かつては、能力不足の管理職を「もうすぐ役職定年だから」と続投させた例もあったというが、そんな温情措置ももはやない”
・大和ハウスも今年、役職定年を廃止しましたが、「今まで以上にシビアに評価し、成果が出せなければ60歳前に役職を降りてもらうといいます。
・記事では、「単純なシニア活躍策ではなく、厳しさと表裏一体だ」と結んでいます。
2.もう不機嫌ではいられない中高年、まだまだスキルアップすべし!
・シニア社員の今後のキャリアについて、考えてみます。
・少子高齢化が進む中で、長年企業を支えてきた人材を雇用する傾向は世界的に続いていくと思います。
・そもそも米国には、雇用関係差別禁止法があり、雇い入れや労働条件などにおいて、年齢を理由として区別することを禁止しています。定年退職がありませんから、働く人それぞれが自分の意思で退職する年齢を決めることになります。
・欧州の先進諸国では、定年年齢と年金受給開始の年齢を同一にすることが一般的です。高齢化が深刻なドイツでは2016年にドイツ連邦銀行が定年年齢を69歳まで引き上げるように提言しています。
・一方、日本においては、2013年の高年齢者雇用安定法で、定年後も従業員の希望があれば65歳まで雇用を継続することを義務付けました。2021年には新たに高年齢者就業確保措置も加わり、さらなる高年齢者の雇用促進が進められています。
・このように、法律と労働力不足を背景に、シニア社員が長く会社に居続ける傾向にあります。そうなると、中には仕方なく働いていたり、過去の栄光にしがみついて若手社員が進める改革に反対したりするシニア社員が出てきます。
・こうした不機嫌なシニア社員は社内の厄介者になっていくでしょう。そして、役職定年制度の廃止によって、使える中高年と厄介な中高年との二極化が進むと考えられます。
・将来、そうした厄介者に自分自身がならないようにするために、歳を重ねても必要とされる人材になるために、新しい価値観や新しい視点に対応していく姿勢を持つことが必要です。
・もう、人事部などから言われたことをやる受け身の社内研修ではなく、自分で必要なものを自分で考えて自発的に学んでいくリスキリングの時代に変わったのです。シニア層の中には、自分で進歩を止めている人も多くいます。
・個人の価値向上は、勤務時間外に社外で行うものが中心です。ただただ会社の研修を待つような姿勢では、その先の人生でも「社会で使えない人」になってしまう恐れがあります。
・役職定年制度の廃止は、若手との公平な競争ステージに中高年を上げることになります。
・そこでは、社会で広く認められるスキルや経験を積み重ねて数値化できるようにしておくことが必要になっていくのではないでしょうか。
・最後までお読みいただきありがとうございました。
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