ほそだ宮の森事務所通信6月号 超高齢社会に関するニュース,生前対策・終活,相続・遺言,家族信託を解説 

===RELEASER.===

June 2023

いつも大変お世話になっております。

行政書士ほそだ宮の森事務所 一般社団法人いきいきライフ協会札幌宮の森代表の細田健一です。

超高齢社会に関するニュース,生前対策・終活,相続・遺言,家族信託などについて,法律面ばかりでなく身近な話題を取り上げてやさしく解説いたします。

お仕事や家事の合間にお読みいただいて,ご家族,お友達,そしてご自身のために,「失敗しない生前対策」や「失敗しない相続」を考えていきましょう。

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緑が青々とし,空気も華やいできましたね。6月は良い季節です。寒からず暑からず!

道内各地で,お祭りも再開されています。札幌では「よさこいソーラン祭り」,「北海道神宮祭」が行われました。みなさまのお住まいの地域ではいかがでしょうか。

ほそだ宮の森事務所通信2023年6月号をお届けいたします。

《気になる話題 虫の目,鳥の目,魚の目》

私たちは日々、さまざまな視点で世界を見つめています。

同じものを見ていても、自分と他人では意見や感覚が違うって面白いことですよね。

この記事では、虫の目、鳥の目、魚の目という3つの視点を大切に最近の超高齢社会にかかわりの深いニュースや話題について分析していきます。

因みに「鳥の目,虫の目,魚の目」とはどのような視点を比喩しているのでしょうか。「虫の目」は、複眼です。つまり「近づいて」さまざまな角度から物事を見るということです。 「鳥の目」とは、高い位置から「俯轍的に全体を見回して」見るということです。「魚の目」とは、潮の流れや干潮満潮という「流れ」を見失うなという意味ですね。

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今回は,人生100年時代における「生前対策」の重要性について,考えてみました。

1.高齢化率の上昇と家族形態の変化

誰もが知っているように我が国は,世界トップクラスの平均寿命を誇る超高齢社会を迎えています。男性は81.49歳,女性が87.60歳(2022年12月23日発表厚生労働省),日本全体の平均寿命は84.55歳になりました。WHOのデータでは世界トップで,2位のスイス83.4歳とは約1歳の差があります。世界全体の平均寿命は,男性が70.8歳,女性が75.9歳。日本は10歳以上世界全体の平均寿命を上回っており,長寿国といわれているのも納得です。

日本は1995年から高齢者割合(65歳以上の高齢者の割合が人口に占める割合)が14%を超え,「高齢社会」へと突入しました。そして,今日では高齢化率が2020年に28.6%となり「超高齢社会」に至りました。高齢化率が21%を超えると「超高齢社会」といわれるわけですが,日本では2010年に23%を超え,世界最速で「超高齢社会」に突入したわけです。

家族形態はどうかというと,子供と同居する高齢者が減少し,一人暮らしや高齢者の夫婦のみの世帯が増加しました。2015年(平成27年)における子どもと同居する高齢者の割合は25年前の59.7%から39.0%に20%以上も減少しました。

同年における高齢者の一人暮らし単独世帯と夫婦のみの世帯を合わせた割合は56.9%に達しています。

2.高齢者の健康

日常生活に制限のない期間を「健康寿命」という見方で表します。2019年(令和元年)における健康寿命は,男性72.68歳,女性75.38歳となっています。平均寿命から男性約9年,女性約12年の差があることを覚えておきましょう。

高齢者の中でも75歳以上になると。介護保険制度における「要介護」の認定を受ける人の割合がずっと高くなり,65歳から74歳の高齢者で3.0%だったものが,一気に23.5%に跳ね上がります。

認知症という観点からみた場合,2012年(平成24年)の認知症高齢者数は462万人であり,およそ7人に1人でした。2025年(令和7年)には,約5人に1人になる約700万人との推計もあります。

3.「生前対策」の重要性

このような環境変化のなかで,「相続」や「財産・資産管理」に対する高齢者の価値観も変化してきています。

例えば,わたしの身の周りでも,次のようなお話しを聞くようになりました。

・「老後の生活スタイルや家族に残す財産の処分方法は自分で決めたい」

・「老後の住まいや生活する場所は,できるだけ自分が元気なうちに方針を決めたい」

・「残された家族や親族にはできるだけ迷惑をかけたくない」

これらを法律的に解釈すると,次の3つの言葉に置き換えることができます。

①自己決定権の実現(ライフプラン):健康なあいだは,自分(自身)たちで財産・資産を管理したい。

②紛争にさせない:意思能力がしっかりしているうちは,家族や親族に口を出させない,干渉させない。

③権利は自分で守る:意思能力も体力も元気なうちは,故意の第三者からの詐欺や消費者被害に遭うことはないという自信がある。

しかし,これは年を重ねるに連れ,自立した生活へ支障が出てくることは避けられません。振り込め詐欺の被害や,高齢者の消費者被害なども社会問題化しています。認知症や日常生活に大きな支障が出る前に,徐々に変化する健康状態(急激に変化することもあります)にも対応して,専門家とともに,後見制度利用開始前から行う高齢者の見守りや財産管理,資産運用を積極的に行う信託の活用など「生前対策」が重要です。

4.「終活」と「生前対策」の関係

では,「生前対策」とはどのようなことをいうのでしょうか?

「終活」と比較しながら説明しましょう。

終活とは、人生の終わりのための活動の略で、自分の望む最後を迎えるために様々な準備や人生の総括を行うことです。終活には、身の回りや財産の整理、相続の手続き、葬儀や墓の準備、老後の医療・介護に関する方針決定などが含まれます。終活をすることで、自分らしく生きることや、遺された家族の負担やトラブルを減らすことができます。

生前対策とは、生きている間に自身の資産や財産を整理し、見直すことです。生前対策をすると、自身の資産・財産を把握することができ、不要な物、相続・引き継ぎが必要な物が表面化するでしょう。そこで、生きている間にやるべき問題点を解決して、自身の死後の希望も明確に示しておけば、残された家族や親族の負担軽減にもつながります。また、自身の人生を改めて見つめ直す機会が生まれるので、残りの人生計画が立てやすくなる点がメリットです。生前対策は、単なる断捨離ではなく、残された家族や親族が資産・遺品の相続・引き継ぎや処分をスムーズに行うために大切な終活の一つといえるでしょう。

おひとり様にとっては,第三者に迷惑をかけないで往生することにも繋がります。

終活は人生全体を見渡して行う活動ですが、生前対策はその一部であり、主に資産や財産を整理することに重点が置かれます。

「生前対策」には主に次のようなものがあります。

〇見守り・日常的な法務の相談

〇財産管理・事務管理契約

〇法定後見制度

〇任意後見契約

〇遺言書

〇家族信託

〇死後事務委任契約

〇おひとり様の見守り駆け付けサービス,財産管理契約,身元保証契約

「生前対策」についての理解を深め,争いのない相続に繋げて,元気にそして安心して「人生100年時代」を送られるよう活用していただけますと幸いでございます。

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〈高齢者に関する地域の相談窓口~地域包括支援センターの役割について~〉

すでにたくさんの高齢者の方がお世話になっている「地域包括支援センター」。わたくしも,何度も訪問させていただいております。

改めて,その役割について,簡単にまとめてみました。

地域包括支援センターは、これから介護サービスを利用したいと考えている人が足を運ぶべき場所です。

地域包括支援センターは、高齢者をサポートするための拠点です。基本的には、人口2万人~3万人の日常生活域と呼ばれる範囲のなかに1カ所ほど設置されています。管轄する地域に暮らしている65歳以上の高齢者、高齢者に関わっている人であれば、誰でも利用できます。いわば「高齢者の何でも相談窓口」です。

要介護認定を受けたい、介護予防サービスを利用したい、老後の財産管理に不安があるといった高齢者自身からの相談も多く寄せられています。その他にも、遠方に住んでいる子どもからの相談にも乗ってくれます。「近所で一人暮らしをしている高齢者が心配だ」といった近所の人からの問い合わせにも対応している、間口の広い相談窓口です。

地域包括支援センターは、全国の市町村が設置している公的な機関です。運営しているのも市町村、または市町村から委託を受けた法人になります。委託先は社会福祉法人や社会福祉協議会、医療法人であることが多いです。

地域包括支援センターの役割は4つ

札幌市内には,27カ所の地域包括支援センターがあります。そこには,主任ケアマネジャー・社会福祉士・保健師などの専門職が常駐し,高齢者の相談に応じています。次に,相談内容に沿って。役割別に記載しました。こんな時には気軽に相談してみてください。

①総合相談支援をしています。

  ・ひとり暮らしで今後が心配 ・もの忘れが多く認知症かもしれない ・家族の介護が大変だ ・近所の高齢者のことが心配 ・地域のための活動をしたい

②介護・介護予防の相談に応じています。

  ・介護保険の制度について知りたい ・介護保険の申請について相談したい ・介護サービスの利用について相談したい ・介護予防に取り組みたい

③高齢者の権利を擁護します。

  ・暴力を受けている又は適切な介護をされていないと思われる人がいる ・悪質な訪問販売の被害にあった ・財産管理や契約が不安

④地域で暮らし続ける支援をしています。

  ・介護と医療や金銭管理など,複数の課題を抱えているので相談したい ・退院後も自宅で暮らしたい ・ケアプランについて相談したい

 札幌市の場合,ご自身の担当箇所がどこになるかお電話で確認することができます。

 【札幌市コールセンター】011-222-4894 ※こちらでは相談はできません。

(札幌市作成のチラシを参考に著者が作成)

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〈改正戸籍法の施行(令和5年予定)で,戸籍取得が便利になります!〉

令和5年度中に改正戸籍法の施行が予定されています。

相続登記や各種相続手続き、他にも婚姻や養子縁組などの様々な戸籍が必要な手続きの際には被相続人や本人の戸籍が必要です。

特に相続の手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等が必要となるのですが、これの取得が非常に手間暇が掛かってめんどうです。

郵送での戸籍の請求は可能ですが、戸籍発行手数料は定額小為替という謎の金券を郵便局で購入し、お釣りの無いように同封しなければならないという能力も求められます(何通の戸籍が各役所で取れるかは請求しないと分かりません。ですから,たいていは多めに入れますが,余った分も子為替で返送されますので子為替がどんどん貯まっていきます)。

このように、今まで本籍地に請求しなければならなかった戸籍ですが、新法施行後は、戸籍の取得が大幅に楽になります。

<改正戸籍法施行後の戸籍謄抄本の取得方法>

※法務省HPより

 簡単にいうと最寄りの市区町村役場の窓口で請求が可能となります。

従来は戸籍謄抄本のデータを各市区町村役場で管理していたものを、改正後は法務省のサーバーに情報が保存されることになります。

法務省に保存されている情報を各市区町村役場が見に行けるようになり(図の①)、情報提供を受ける(図の②)ことが可能となります。

よって、ご自身の都合の良い市区町村役場(または出張所)へ行って請求すれば、現在の戸籍謄抄本のみならず、前本籍地や前々本籍地の除籍等も全て一気に取得できるようになるというわけです。

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〈事例のご紹介~身元保証相談のケース①~〉

相談者・太郎さん 67歳

20〇〇年1月に,最愛の妻が癌で亡くなった。一段落したら,妻のお母さんの病院から呼び出しがあって,身元保証人が妻になっていたが,妻が亡くなったので,その夫である私に身元保証人になって欲しいとの連絡だった。

妻の母とは,20年近く疎遠だったものの,妻の病気のこともあって最近また顔を合わせることになったが,関係性が希薄なうえに,自分の母親の介護も始まっており,正直なところ妻の母の面倒を見るのは精神的にも厳しい。

また,何よりも先日,病院に行って身元保証人の手続きをしてみて実感がわいてきたが,今後,医療の方針や医療の同意などの医師対応を私に聞かれても困る。

このほか,義理の父の納骨したお墓の取り扱いも,妻の母が亡くなった先の納骨先と,その墓じまいも私が担当するには重すぎる。

できたら,身許保証専門の会社に,医療の対応や葬儀や供養のサポートをしてもらいたいと思って相談しました。

身元保証相談士・行政書士 O氏

太郎さんのお話しを聞いたうえで,身許保証に関する無料相談ということで,太郎さんと一緒に義理のお母さんのところに相談に行くと,お母さんからも相談をいただき,また病院のケースワーカーさんからも,退院の日取りが決まったものの,身許保証人がいないと施設に移転が出来ないので,いずれにしても,お独り身となったお母さまの身元保証人の対応が出来ないかという相談をいただくことになった。

最終的に,お母さんに身許保証に関する公正証書をきちんと締結してもらい,お母さんのご実家の近くの有料老人ホームに入居していただくことになり,身許保証相談士の方で全てのお手続きをサポートさせていただく形になりました。

(「いきわく 2023年春号」おひとりさまのぎもんから一部を抜粋)

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〈認知症と暮らす~「認知症サポーター」の視点から~〉

最近の研究で,認知症予防に効果的な食事のパターンが明らかになったそうです。

増やすとよい食品は,牛乳,乳製品,大豆製品,緑黄色野菜,淡色野菜,海藻類,果物などでした。ごはんなどの主食に偏らず,野菜類や魚をよく食べる日本型の食事に,摂取量が足りていない牛乳・乳製品を取り入れた食事パターンを心がけることが推奨されています。

そこで,牛乳・乳製品に注目です。

久山町研究で,牛乳・乳製品をもっともよく取るグループは,もっとも取らないグループに比べて,アルツハイマー型・血管性認知症のリスクがともに3~4割程度低下し,特にアルツハイマー型認知症の有力な防御因子であることが分かりました。

科学的根拠に基づく認知症対策として,毎日コップ1~2杯の牛乳,チーズやヨーグルトを食生活に取り入れてはいかがでしょう。

(参考文献北海道医師会地域保健部発行「健康るるる」)

※6月15日,国会で「認知症基本法」が成立しました。次回,その概要について解説します。

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〈あとがき〉

4~5月にかけて,札幌市内約100箇所以上の介護・医療関係者様にご連絡を取らせていただきました。多くの関係者の方が,ご多忙にも関わらず説明する機会を与えて下さいました。ありがたかったですし,高齢者介護の勉強の機会にもなりました。みなさんが,並々ならぬご苦労を重ねられているお話しをたくさん聞くことができました。

本来,介護や医療とは異なる法律の面や,財産管理の面で小職がいくらかでもお役に立ち,そのご負担を軽減できれば,業務の効率化に繋がると共に,その時間を新たな相談者の高齢者・患者さんに掛けることができます。

ご本人様・ご家族様についても,一人で悩んでばかりいると出口が見えなくなって,気が付いた時には当該本人様が病に倒れられ,悩んだ時間が無駄になることもあります。意思能力の限界は,おおよそ80~85歳(それ以上のご高齢でも確りしている方はいらっしゃいますが…)と思っていただきたいと思います。

何をするにしても,早め早めが大切ですね。