(後編)50代60代は覚えておきたい!高齢の親が亡くなった後の3か月後から1周忌までに行う手続き

・親が亡くなった後の手続きについて、亡くなられた直後から1周忌までに行う主な手続きの流れ(多くの方々が必要となる事柄)を、時系列に8つのステップに分けてまとめています。

<8つのステップ>
「ステップ1:亡くなられた後すぐ」、
「ステップ2:亡くなられた後速やかに」、
「ステップ3:7日以内」、
「ステップ4:2週間~1か月以内」、
「ステップ5:3カ月以内」、
「ステップ6:4カ月以内」、
「ステップ7:10カ月以内」、
「ステップ8:1年以内」

・前回は亡くなられた後から2週間から1か月くらいまでの手続き(ステップ1~4までをご紹介しました。

・今回は、後編の3か月後から1周忌までに行う手続きをみていきます。

・50代、60代そして定年前後の方々は、高齢の親御さんにもしものことがあった時に慌てないよう、引き続き、覚えていきましょう。

目次

  1. ステップ5:3カ月以内
  2. ステップ6:4カ月以内
  3. ステップ7:10カ月以内
  4. ステップ8:1年以内

ステップ5:3カ月以内

・相続の準備に関わる調査。前編では、「遺言」の調査をスタートしました。これに加えて、相続人および相続財産の確認など相続の準備を本格的に進めます。

・相続の手続きの詳しい流れについては、稿を改めて述べますので、ここでは簡単に触れる程度に止めます。

相続人の調査は、故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めて、正確な法定相続人を確認します。これは遺言の確認と同じくらい非常に重要です。家系図のような相続人関係図にまとめるといいでしょう。

・たとえば、家族が誰もしらない前の奥さんとの間に子供がいた、といったケースでは、その子も正当な法定相続人となるからです。

相続財産についても、調査をすすめます。不動産、預貯金、株式などの有価証券、自動車、ゴルフ会員権、生命保険、書画骨董、貴金属、さらには借金などの負債も調べます。調べたら、目録リストを作ります。

・金融機関に対して、財産調査のため口座名義人が亡くなったことを届け出て、「残高証明書」などを請求した場合、故人の名義の口座は凍結されます(地域によっては、新聞のお悔やみ欄などから情報を知り凍結するケースもあります)。原則として、口座凍結後は、出金・振込・引き落としができなくなります。

・公共料金やクレジットカードの支払い方法になっている場合は、引き落とし口座の変更、クレジットカード会社への届出を行ってから、金融機関に届け出るよう注意しましょう。

「相続放棄」というものがあります。借金など負債の方が多いときに、文字通り、法廷相続人は相続を放棄することができます。家庭裁判所に申立をしなければなりませんが、その期限は、相続開始を知ったときから3カ月以内と法律で決められています。

・それには、負債を含めて相続財産の額と、相続人がわからなければなりません。これらは、後々の相続税の申告(納税)にも関わってくる非常に重要な事柄です。

ステップ6:4カ月以内

所得税の準確定申告(納税)。故人に一定の所得があった場合に、故人に代わって所得税の申告をすることを「準確定申告」といいます。4カ月以内に故人の死亡当時の納税地の税務署に提出します。

・相続人が二人以上いる場合は、全員の連署で提出します。

・ただし、公的年金などの収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下の場合は申告が不要となります。

ステップ7:10カ月以内

相続税の申告(納税)。相続税の納付が必要な人は、相続の開始があったことを知った日から(通常は被相続人(=故人)が亡くなった日)の翌日から10カ月以内に、「相続税の申告書」を作成して、税務署に提出、納税します。

・申告書は、同じ被相続人から相続や遺贈、(相続時精算課税制度の)贈与によって財産を受け取った人が、共同で1組作成して提出するのが原則です。

・申告書に添付する必要書類には、すべての相続人の戸籍謄本、遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書などが必要になりますので、早めに準備しておきます。

・課税価格の合計が基礎控除額以下だった場合は、申告(納税)する必要がありません。

・したがって、相続税の課税対象となるかならないかは、とても大きな影響があります。相続税については、別な稿で詳しく述べます。

・実際には、相続税の申告は税理士に依頼するケースも多いと思いますが、税額軽減などの特例を見落とさないためにも、相続税の計算方法と仕組みを知っておくことが大切です。

ステップ8:1年以内

不動産や預貯金の名義変更など遺産分割の手続は、一通り完了させておきましょう。二次相続(一次相続で相続人となった者(配偶者など)が亡くなった後に起こる2回目の相続のこと)などが生じると手続きが難航することがあります。

・不動産の相続登記については、民法と不動産登記法の改正により、これまで義務ではなかった相続登記が、令和6年(2024年)4月1日から義務化されます。

・相続または遺贈により不動産の所有権を取得した相続人は、相続開始があったことを知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが義務付けられました。また、合わせて遺産分割協議が成立したときは、「遺産分割の日から3年以内」に遺産分割協議に基づく登記申請をすることが、追加的に義務づけられました。

・怠った場合には最高で10万円の過料を科せられますので、注意したいです。