親の介護費用の負担は誰がするのですか?(2)親の経済状況・資産の把握~資産管理者を決める
前回は、費用負担のこと。親のお金・資産で賄うのか、それとも子供がお金をだすのか?について、はじめにみてみました。
原則は、親または配偶者のお金を充てるというものでした。不足分を子供が負担します。
後半では、具体的に費用負担の準備として、介護方針・スタイル、主介護者を決めることを述べました。
今回は前回の続きから。親の経済状況・資産の把握~資産管理者を決める、です。
引き続き、お読みいただければ嬉しいです。
目次
- (前回からの続き)1.費用負担の準備(3)親の経済状況・資産を把握
- 2.費用負担の準備(4)不足する費用の分担
- 3.費用負担の準備(5)資産管理者を決めておく
- 4.まとめ
(前回からの続き)1.費用負担の準備(3)親の経済状況・資産を把握
前回、述べたとおり、介護費用は原則、介護者のお金・資産を充てますので、介護方針・スタイルがある程度イメージできたら、まずは親の経済状況・資産を把握することに取り掛かります。
お金のことは親子でも聞き難いものですが、将来に備えて、介護の話題になったときに切り出すなどタイミングを見計らいましょう。親にとっても安心につながるはずです。
わたしの場合、ひとり親ですので、話しをした際には、もう準備万端で預貯金しかありませんでしたが全て教えてくれました。
親としては「終活」を考えている場合もあり、「エンディングノート」を作成しているといった話しも聞きますので、切り出すタイミングについてあまり難しく考える必要はないと思います。
なお、「話しやすい相手」と一緒にいるときが比較的、話してくれやすい場合がありますので、雰囲気には気を使いましょう。
親の資産としては、①全ての銀行口座残高、②年金収入、③株式など有価証券、④生命保険、⑤不動産、⑥自動車などの高額な動産、⑦負債・借金などを把握します。
その場で根掘り葉掘り聞くというよりは、ノートやパソコンに記録しておいてもらいます。
また、万一の場合に備えて、銀行の暗証番号、預金通帳、登録印鑑の場所などもわかるようにしてもらいます。そのノートは大切に保管しておいてもらいます。
2.費用負担の準備(4)不足する費用の分担
親の月々の年金収入や資産の取り崩しだけでは介護費用が不足する可能性がある場合は、不足分を子供の中でどのように負担するかを決めていきます。
ここでありがちなことは、自分の家庭の経済状況や家族の事情を一方的に主張し合い、揉めるパターンです。
例えば、①完全に均等負担、②遠方で直接介護に関われないので金銭負担は多く、③主介護者の分は他の者が負担、など具体的に整理していきます。
介護施設に入ることを希望している場合、毎月30万円かかるとします。親の年金収入を毎月15万円差し引いて残りは兄弟3人で折半し、5万円ずつ均等負担にするなどです。
3.費用負担の準備(5)資産管理者を決めておく
親が認知症や万が一、意思決定が困難になったときのために備えて資産管理者を決めます。
介護事業者に支払うお金、日用品の購入の支払い、施設に支払うお金などは領収書を保管しておきます。
そういう事態になった場合に、資産管理者が介護以外に勝手に資産を使用することがないよう、収支を記録して兄弟姉妹で共有します。
資産管理者とは別の方が、会計監査になり収支が合っているかチェックできるようにすることも考えておきましょう。公平性を保つために必要です。
4.まとめ
今回は、前回に引き続き、費用負担の準備のポイントを3点述べました。前回と合わせると、5つのポイントを述べてみました。
①親の希望を聞いて介護方針・スタイル、②主な介護者と役割分担、③親の経済状況・資産の把握、④不足する費用に分担、⑤万が一の場合の資産管理者です。
このほかにも、親の生活リズムや趣味・嗜好を確認しておくと、介護サービスを利用したり、身内で一緒に出掛けるときなどに参考になります。
また、ご近所つきあいや仲の良い友人、サークルなどの連絡先も知っていると、こころ強い味方になってくれることが多いと思います。
自分が会社員であれば、勤め先の「介護休暇」などについて調べておきましょう。取得できるのは年間5日なのか10日なのか。1日または時間単位での取得が可能なのかなど。