「親が亡くなった!何をすればいいの?…」と慌てないようにしましょう:(前編)2週間からひと月以内に行う手続き
ステップ1:亡くなられた後すぐ
・亡くなられた後、すぐに行わなければならないことは、通夜・葬儀・告別式の手配です。
・葬儀を行うにあたっては、病室で亡くなられた場合には、病院の霊安室から遺体の搬送や、葬儀社の手配をします。病院から紹介してもらうことが一般的です。
・また、親族や関係者へ連絡します。直接連絡すべき方以外は、ご兄弟など特定の親族に連絡窓口を一任するなど、役割分担するのも一考でしょう。
・わたしの住んでいる自治体などでは、火葬場が「友引」休業のため、この日にぶつかると、一連の葬儀の日程を後倒しにすることになります。火葬場の休業日を事前に確認しておくといいでしょう。
・なお、葬儀全般のことは、葬儀社が見積りの打ち合わせのときから、詳しく教えてくれますので、遠慮せずに疑問に思ったことは質問するのが良いかと思います。
ステップ2:亡くなられた後速やかに
・葬儀の手配と並行して「死亡診断書(死体検案書)」を取得します。
・病院や自宅で臨終に立ち会った医師が作成して交付してくれます。通常、亡くなった当日または翌日に交付してもらえます。
・この書類は、「死亡届」と同一の用紙にまとめられています。
・厄介なのは、事故などにより自宅など病院以外で亡くなった場合です。この場合は、警察が事故か他殺かの調査をし、検死後、監察医から交付されます。
・わたしの知り合いのケースで、一人暮らしをする父親を自宅において遺体で発見した方がいらっしゃいました。
・警察の捜査が入り、遺体は搬送され司法解剖となり、「事故死」と結論が出て遺体が戻ってくるまでに1か月以上掛かりました。したがって、「死体検案書」を受け取れたのも同じ時期になりました。当然、葬儀の段取りもそこから手配しました。
・病院以外で亡くなられたときは、注意が必要です。
ステップ3:7日以内
・「死亡診断書(死体検案書)」を受け取ったら、用紙の半分の「死亡届」に記入して、故人の死亡地・本籍地または届出する人の住所地のいずれかを管轄する市区町村役場に提出します。死亡者の戸籍を抹消する届出書類です。
・「死亡届」を記載できるのは、親族などの親しい人です。
・「死亡届」と同時に、故人の火葬の許可を得るために、「埋火葬許可申請書」を提出します。
・受理されると「埋火葬許可書」が交付されます。許可書は、火葬の当日に火葬場に提出します。
・火葬が行われると火葬場は、許可書に火葬の証明を加えたうえで返却してくれます。これが今度は「埋葬許可書」となります。
・「死亡届」と「埋火葬許可申請書」のやりとりは、依頼をした葬儀社が代行してくれるのが一般的です。
・「埋葬許可書」は、納骨のときまで保管し、墓地の管理事務所やお寺に提出します。
ステップ4:2週間以内から1か月以内
年金受給停止の届出
・故人が年金を受け取っていた場合は、年金の受給を停止します(年金は亡くなった月の分まで受給できます)。「年金受給権者死亡届」を年金事務所などに提出します。この届出は、亡くなった日から14日以内に行う必要があります。「マイナンバー」が日本年金機構に収録されている場合は、提出を省略できます。
国民健康保険証の返却、資格喪失届の提出
・亡くなられた方の医療保険が国民健康保険だった場合は、「資格喪失届」の提出期限が14日以内となっています。故人が居住していた市区町村役場の窓口に提出します。届出のときには、保険証の返却が必須ですので忘れずに持参します。
・故人が70歳以上のときは、「高齢受給者証」も一緒に返却します。75歳以上のときは「後期高齢者医療保険証」を返却しますが、手続きは市区町村によって異なるようです。介護保険の資格喪失届も市区町村によって異なるようです。
世帯主変更の届出
故人が住民票の世帯主になっている場合は、世帯主の変更届を14日以内に、故人が居住していた市区町村役場の窓口に提出します。世帯主でなかった場合は不要です。また、残されたのが母親だけといように、世帯員が1人になる場合も届出は不要です。
「遺言」の有無の調査
故人が「遺言」を残していないか確認します。「遺言」を残していると、原則としてその内容が最優先されます。「遺言」では、財産の分け方を指定したり、相続人以外の人に財産を贈ること(「遺贈」という)ができます。「遺言」の有る無しで後の手続きが変ってくるので、その確認は早めに進めましょう。
・合わせて「エンディングノート」の有無も確認しましょう。親しい友人の連絡先や、葬儀の方法、預金通帳の保管場所など故人が遺族に伝えておきたい大事なことが書いてあります。また、「遺言」の保管場所が記載されているかもしれません。ただし、「エンディングノート」は「遺言」のように法的な効力はありませんので、財産の分け方が記載されていたとしても拘束されることはありません。
・さて、「遺言」ですが、自筆証書遺言であれば自宅の重要書類などを保管している場所、金庫などを探します。
・自筆証書遺言を発見した場合、家庭裁判所において「検認」という手続きをする必要があります。封がしてある場合、「検認」の手続きの前に遺言書を開封することは法律で禁止されていますまた、後々のトタブルの種になりますので、開封せずに裁判所に提出しましょう。
公共料金、固定・携帯電話、クレジットカード等などの変更や解約手続き(ここからは、通常、1か月後くらいを目処にしても大丈夫です)
・電気、ガス、水道など故人が契約者だった場合は、契約者を変更する必要があります。住む人が居ない場合は、解約や使用中止の手続きをします。
・気を付けたいのは、料金の支払いです。口座引き落としやカード払いになっている場合、故人の銀行口座などが凍結されると、料金が未払いの状態になります。さらに放置しておくと使用できなくなりますが、その間、使わなくても基本料金などがかかりますので要注意です。
・携帯電話やスマホも解約しましょう。そのほか、テレビ、インターネットのプロバイダーの解約手続きも忘れずに。
・最近は、公共料金から、税金、国民年金保険料までカード払いができるのでクレジットカードの処理も重要です。公共料金などの支払い方法を変更したうえで解約をすることになります。解約の手続きはカード会社によるので、問い合わせて教えてもらいましょう。利用代金やキャッシングの残高が残っているときは、相続人に連帯して支払う義務があります。
・運転免許証、パスポートの返却手続き。運転免許証やパスポートは、犯罪に悪用されることもある重要な身分証明書です。運転免許証は警察署の窓口で返納届に記入して、故人の運転免許証と死亡日を確認できる書類を提出します。パスポートは、パスポートセンターや市町村の旅券窓口で手続きします。
・「ステップ5:3カ月以内」、「ステップ6:4カ月以内」、「ステップ7:10カ月以内」、「ステップ8:1年以内」は後編でみていきます。