✅会社で働いていれば40代の人なら自分が10年後にどういう働き方をしているかは社内の50代を見れば想像がつきます!✅しかし、定年後の実態はわからないでしょう!🌈キャリアは?🌈年収や生活費は?一緒に考えましょう
1.定年後の年収と生活資金の関係
・はじめに、定年後の年収はいくらなのかみていきます。
・国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、2019年の給与所得者の平均年収は436.4万円。調査には、国内で働くすべての給与所得者が含まれており、フルタイムで正社員として働く人はもちろんパート労働者なども含まれた数値となっています。
・給与所得者の平均年収は、20~24歳の263.9万円から年齢を重ねるごとに右肩上がりで上昇し、ピークを迎えるのが55~59歳の518.4万円。そして、多くの人が定年を迎える60歳以降、給与は大きく減少します。平均年間給与所得は、60~64歳には410.7万円、65~69歳では323.8万円、70歳以降は282.3万円まで下がります。
・60歳以降の就業者全体の年収分布をみていくと、60代前半では平均収入は357万円で、収入の中央値は280万円。60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、中央値が180万円まで下がります。定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかります。
・収入低下の第一のタイミングは50代後半にきます。定年を前にした役職の引き下げによるもの、もしくは、役職定年制度がない企業でも異動によって実質的な役職を下げて賃金を抑制するなど、運用によって賃金を引き下げているケースもあります。個人の年収のピークは50代半ばにあることが多いと考えられます。
・そして、第二の給与削減の波は、定年直後にきます。これは、定年を迎えた段階で会社を退職したり、同じ会社で再雇用に移行したりすることで給与が減少するからです。
・60歳から64歳の平均給与所得は55歳から59歳の8割程度。正社員で勤め続けていた人に限定すれば、同じ勤務体系でも定年直後は定年前と比較して3割程度給与が下がるというのが実情のようです。
・定年後、多くの人が年齢を重ねるにつれて徐々に稼得水準を下げていきます。歳を取るごとに自身に様々な変化が起こり、より無理のない範囲で働くよう就業調整をしています。
・仮に50代でセカンドキャリアに向けて起業をしたとして、優秀な方であれば気力あふれる当初においては事業を順調に営むことができます。しかし、65歳、70歳、75歳と歳を重ねれば、自身の健康面や仕事に向かう気力や体力などに変化が訪れます。やっと事業に目途がたったと同時に、その事業の縮小を余儀なくされることも珍しくありません。
・あるいは、定年後に嘱託やパート・アルバイトといった形で非正規雇用で就業を続けている人であっても、歳を取るごとに収入をある程度犠牲にしてでも就業時間を制限し、より無理のない仕事に調整することがあります。
・実際に70歳時点で700万円以上の年収を稼ぐ人は就業者のなかで5.2%。現実の収入分布をみると、そういった働き方を続ける人は少数派です。
・次に、夫婦2人世帯でゆとりある老後生活を送ろうとした場合、どのぐらいの資金が必要となるのかみていきます。
・公益財団法人生命保険文化センターが2019年度に行った「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で生活するうえで最低限必要な「最低日常生活費」の平均は月額22万1000円、「ゆとりある老後生活費」の平均は月額36万1000円でした。
・「最低日常生活費」と「ゆとりある老後生活費」の差額は月額14万円で、その使い道としては旅行やレジャー、趣味や教養と答えた人が半数を超えました。なお、ゆとりある老後生活に必要な金額は年間433万2000円。
・本年金機構が公表している、夫(妻)が40年間平均的な収入で会社員として働き、妻(夫)が夫(妻)の扶養家族になっているモデルケースでは、1ヶ月に受け取れる厚生年金額は21万9593円です。
・「ゆとりある老後生活費」の平均月額36万1000円と、平均的な厚生年金の収入月額21万9593円では14万1407円の差があり、「最低日常生活費」の平均である22万1000円よりも1407円少ない結果となりました。
・このように、ゆとりのある老後生活を送るためには、年金額だけだと1ヶ月あたり約14万円、1年で168万円足りないことが分かっています。
・2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳で2019年よりも延びています。仮に夫婦ともに85歳まで生きた場合、ゆとりある老後生活を送るためには、年金とは別に168万円×(85歳-65歳)=3360万円を用意しなければなりません。
・厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のおよそ80%が、貯蓄があると回答、その平均額は1213万2000円で、3000万円以上あると答えた世帯は約10%です。
・このほかの収入としては、私的年金。つまり、企業年金や確定拠出年金などがあります。これらも含めると、ゆとりある老後生活には、毎月5万円~10万円程度の公的年金外収入が必要な計算になります。
・このことから、早いうちから老後に向けた資産形成をしていくことが大切になるでしょう。
2.定年後は自分のペースで長く働いて満足度アップ!
・総務省「国勢調査」によれば、2020年における70歳男性の就業率は45.7%とすでに半数近くの70歳男性は働き続けるという選択を行っています。女性の高年齢者に関しても、ここ10年ほどで労働参加が急拡大している。
・少子高齢化で生産年齢人口が減少するなかで、高年齢者の労働参加に対する社会的な期待は年々高まっている。近い将来、定年後も働き続けることはますます「当たり前」になっていくでしょう。
・継続雇用の期間というのは多くの企業で5年ほどであり、あくまで定年後のキャリアの一部分にすぎませんが、その後、60代後半、70代前半、70代後半と歳を重ねる中で、人はどのような仕事に携わっているのでしょうか。
・平均的な家計において定年後に稼ぐべき額は月10万円程度だということが分かりだします。生活に必要な収入以上の収入を得ることに、モチベーションや野心を持てる人もいるでしょうが、それは60代では特別なケースに入ります。
・キャリアの中で人は仕事に対する意義を見失うタイミングがあり、多くの人は50代でその転機を経験することになると言われています。
・『ほんとうの定年後』のなかでも、定年後の「小さな仕事」を通じて豊かな暮らしを手に入れている人々の姿が描かれています
『ほんとうの定年後』より抜粋
〈定年後の人々を取りまく状況は多様だ。企業の管理職や高度な専門職に就いて、生涯において仕事で大きな成功を続ける人もいるだろうし、現役時代に仕事を通じて貯蓄に励み余生を悠々自適に過ごす人もいる。またその正反対に、生活費を稼ぐために歳を取っても必死で働いている人もいるだろう。
こうした人々が存在するのは紛れもない事実である。しかし、こうした姿はもはや定年後の「典型」ではない。本書で焦点を当てるのはむしろ、定年後の「小さな仕事」に無理なく従事しながら、日々慎ましくも幸せな生活を送っている人たちの姿だ。なぜなら、このような人たちの姿が高齢期の「典型」であることを、様々なデータが教えてくれるからである。
さらに、事例を通じて、多くの人が現役時代から定年後のキャリアに向けた移行期に悩む経験をすることがわかってくる。そして、その転機に向き合うことで、競争に勝ち残り、高額の報酬を得ることだけがキャリアの目的ではないことに、人は気づいていく。〉
・また、意外かもしれないが、70歳就業者の6割が仕事に満足しています。
『ほんとうの定年後』より抜粋
〈年齢を追いながら仕事満足度の推移を見ていくと、現在の仕事に満足している人の割合は20歳時点の44.2%から30歳には36.8%まで下がる。若い頃は比較的多くの人が充実感をもって仕事をしているが、仕事をしていくうちにそうした気持ちは失われていく傾向にある。その後、50歳時点の35.9%まで低調に推移を続ける。壮年期の労働者のうち現在の仕事に満足しているといえる人は3人に1人しかいない。
そして、60歳以降は一転して仕事に満足している人の割合は急上昇する。60歳の就業者の45.3%、70歳の就業者の59.6%が仕事に満足している。つまり、70歳の就業者の5人に3人が、いまの仕事に満足していると答えているのである。これは、かつて従事した責任ある仕事を失い低い給与で働いているという表層的にうかがえる事実に照らして、意外な結果といえる。〉
・定年前よりも「小さな仕事」に従事し、小さく幸せに暮らす。これが定年後の典型的な暮らしだと思えます。
・調査によれば、現役時代よりも小さな仕事ではあるが、やりがいを感じ、満足している人は増えるということがわかっています。60〜70代で仕事に満足している人の割合が増えるというのは、希望の持てる話かもしれませんね。
ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う (講談社現代新書)www.amazon.co.jp