遺産分割で父の預貯金を相続しました!銀行にどんな手続きをすればいいですか?

・「遺産分割協議書」に相続人全員が無事、署名・捺印(実印)をしました。遺産分割もいよいよ大詰めです。

・次は、実際に相続した預貯金や不動産、自動車などを相続する手続き、解約や名義変更を行わなければなりません。

・はじめに、もっとも多いと思われる預貯金の相続手続きについてみていきます。

・金融機関ごとに用紙や手続き内容が若干異なりますので、ここでは一般的な説明をします。具体的には、金融機関のホームページや担当窓口で確認してください。

・また、故人の銀行口座で引き落とされていた水道光熱費や、死亡前の病院代の精算の方法についても、遺族の間で問題となります。その方法についてもみていきます。

・50代、60代そして定年後に、高齢の親御さんに万が一のことが起きても慌てないように、覚えていきましょう。

目次

  1. 1.水道光熱費・家賃、医療費などの支払い
  2. 2.費用精算の方法
  3. 3.相続に必須の預貯金相続~たいていの方は銀行口座を持っています
  4. 4.口座の凍結
  5. 5.預貯金の相続手続き

1.水道光熱費・家賃、医療費などの支払い

・生前の故人は、家賃や水道光熱費がかかり、クレジットカードなどで買い物をしているものです。
・亡くなると通常は、各種の支払いが残ることになります。これらの支払いは被相続人の債務に当たりますので、各相続人が相続分の割合で支払義務を負うこととなります。

・銀行の口座引落としで支払っていた場合は、銀行口座が死亡により凍結し、何もしないでいると生活上のライフラインが停止されてしまいます。

・電気、ガス、水道、NHKなど。自宅の固定電話、携帯電話、プロバイダなど。クレジットカードなど。スポーツクラブや習い事等の会員などがあります。

・これらの引き継ぎの手続きをするため預金通帳の取引明細を確認して定期的に引き落としされている項目を洗い出し、契約各社に対し、死亡の届出を行うとともに各種の変更手続きを行っていきます。

・手続き時を行う上で、死亡の記載がある戸籍謄本や、被相続人との相続関係がわかる戸籍謄本の提出を求められることもあります。

・次に医療費の支払いについて。医療費の未払いがある場合は相続人が支払うこととなります。

・被相続人の医療費の1か月の自己負担額が、所得状況に応じて定められる一定の額(自己負担限度額)を超えたときには、その超えた分の金額は高額医療費の支給を申請できます。この手続きについては各相続人が申請することができます。

・被相続人の医療費や生前の被相続人の生活費を相続人の1人が立て替えて支払った場合は、必ずその領収書を保存しておきます。

・これら被相続人の債務を立て替えて負担した場合は、相続人が相続するより優先して支払を受けることができます。逆に言えば、領収書を保管しておかないと、被相続人の債務を立て替えて負担したにも関わらず、相続財産から返済をうけることが出来ず、その相続人の負担となってしまいます。

2.費用精算の方法

費用精算は相続人の誰がしても問題はありません。被相続人名義の電気ガス水道代や病院代などは、相続債務と考えられますから、全ての相続人に支払い義務が生じます。つまり、支払い義務がある相続人であれば誰が払っても問題はありません。ただし、立て替えた費用については、後日相続人同士で精算しましょう。

相続した預貯金の解約を待っていては時間がかかってしまいますので、とりあえず自分の財布から立替えていただいても全く問題はありません。ただし、勝手に費用を立て替えたことが揉め事のきっかけになっては大変ですから、他の相続人には「費用は立替えておくから後で精算しよう。」と一言伝えておいた方がいいと思います。

・被相続人の口座から引き出すのはお勧めできない。よくキャッシュカードで被相続人の預金口座から当面のお金を引き出して、そこから費用精算を行う方がいらっしゃいますが、お勧めはできません。
・遺産分割前の預貯金口座は、相続人全員の共有財産になっていますし、勝手に口座から引き出した行為が争いの火種になることがあるからです。
・また、被相続人の預金口座からお金を引き出すと相続放棄ができなくなりますので、その点にも注意が必要です。

・実際のところ、相続放棄の予定がないのなら、被相続人名義のキャッシュカードで預金口座からお金を引き出してしまう方は沢山います。家族の仲が良くて揉める可能性のない相続関係であれば、被相続人の預金口座から費用を支出したとしても誰も怒ることもないと思いますので、柔軟に対応することも可能でしょう。

・被相続人の医療費や生前の被相続人の生活費を相続人の1人が立て替えて支払った場合は、必ずその領収書を保存しておきます。

・これら被相続人の債務を立て替えて負担した場合は、相続人が相続するより優先して支払を受けることができます。逆に言えば、領収書を保管しておかないと、被相続人の債務を立て替えて負担したにも関わらず、相続財産から返済をうけることが出来ず、その相続人の負担となってしまいます。

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3.相続に必須の預貯金相続~たいていの方は銀行口座を持っています

・銀行口座を持っていない方は世の中に存在しないといってもいいですね。ということは、相続手続きには必ず預貯金の相続手続きが発生します。

・金融機関には様々な種類があります。地元の信金であったり、信用組合、信託銀行もあれば労働金庫や農協もあります。全国に何百種類とある金融機関それぞれで手続きの違いがありますので、その金融機関にあった相続手続きが必要となってきます。

・各金融機関によって、相続手続きの方法や書式も異なりますので、それぞれの銀行等でそれぞれの決まった方法で手続きをとっていかないといけません。

・亡くなった方が保有する口座で最も多いのが「ゆうちょ銀行」だと思いますが、ゆうちょ銀行では、2段階の手続きが必要となってきます。一度目は相続依頼書の提出、そして2度目は必要書類の提出。様々な金融機関で相続手続きを行ってきた経験上、このように2段階で手続きをさせる金融機関はとても珍しいのですが、それはゆうちょ銀行の手続きとして決まっていることなので仕方ありません。

4.口座の凍結

・以前にも、触れましたが、名義人が亡くなった預貯金口座は、凍結されてしまい、お金の出し入れを一切することができなくなります。

・死亡後は、葬儀代や入院費用の精算など、何かとお金がかかります。また、亡くなった方の預貯金で生活をしていた遺族は、口座が凍結されたことで日常生活ができなくなってしまうこともあります。口座凍結で、様々な不都合が生じることになりますので、早急に相続手続きを進めていかなければいけません。

・死亡届の提出がなされたからといって、各金融機関にその情報が伝わって口座を凍結するわけではありません。何らかのキッカケがあってはじめて金融機関の方で銀行口座を凍結します。

・そのキッカケで最も多い理由が、相続人が金融機関に問い合わせをしたことです。相続人自らの申し出により預金口座が凍結されることはよくありますが、それ以外にも自分の意思とは関係なく凍結されてしまう場合もあります。

・ちょっと事前知識のために銀行へ手続き方法を問い合わせてみようという安易な気持ちで電話してしまうと、それだけで勝手に凍結されてしまうことがありますので注意が必要です。

・つまり、相続人が申告しない限りは、金融機関の方で死亡の事実を知ることはほとんどありえないので、死亡したまま凍結されていない口座も沢山存在しています。

・相続により凍結された預貯金の仮払い制度。遺産分割協議を待っていては時間がかかりますし、当面のお金が必要になることもあるはずです。そのような場合には、「相続した預貯金の仮払い制度」を利用して、預貯金の一部を引き出す方法があります。

・ただし、1つの金融機関から引き出せる金額は、最高150万円(または、預貯金額3分の1×仮払いを請求する相続人の法定相続分)という上限がありますので、あくまで「仮」に払ってもらう制度であることを理解する必要があります。

預貯金を引き出す行為は、法定単純承認に該当しますので、相続放棄が認められなくなる場合があります。引き出した預貯金の使い道にもよりますが、相続放棄をする可能性が少なからずあるのなら、預貯金を引き出すべきではないということになります。

5.預貯金の相続手続き

・被相続人の凍結された口座は、放っておいたら銀行がなんとかしてくれるものではありませんので、相続人が必要書類を準備して、手続きを進めていかなければいけません。

《[引用遺産分割協議書がある場合》
 ・被相続人の出生から死亡の戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍など)
 ・相続人全員の戸籍謄本
 ・相続人全員の印鑑証明書
 ・故人の通帳とカード
 ・遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印)

《[引用]遺言書がある場合》
 ・被相続人の死亡記載の除籍謄本
 ・預貯金を受け取る相続人の戸籍謄本
 ・預貯金を受け取る相続人の印鑑証明書
 ・故人の通帳とカード
 ・遺言書(以下のいずれか)
  1.公正証書遺言(正本または謄本)
  2.検認済自筆証書遺言
  3.遺言書情報証明書
 ・遺言執行者の印鑑証明書(選任されている場合のみ)

・遺言書がある場合には、被相続人の死亡と、預貯金を受け取る相続人の生存を確認できればいいため、戸籍謄本がかなり少なくなります(出生から死亡の戸籍謄本を集める必要がない)。

・金融機関によっては、戸籍謄本や印鑑証明書に有効期限を設定していることがあるので、申請前に確認をした方がいいです。

これらの証明書に関しては原則として銀行に提出をすれば向こうがコピーを取って原本を返してもらえますので(コピーを持参してほしいと言われることがありますので注意が必要)、各銀行の分を取得する必要はありません。

・預貯金の解約のために「遺産分割協議書」は、必須ではありません。銀行の所定用紙に相続人全員の署名捺印(実印)をすることで、預貯金の解約手続きを進めてくれます。

銀行の所定用紙とは、「相続手続依頼書」といいます。金融機関によって呼び名が異なります。「相続関係届書」、「相続届」、「相続に関する依頼書」などといいます。どの金融機関も用紙はA3サイズです。
・この相続手続依頼書に、相続人全員の署名捺印(実印)することで、遺産分割協議書なく預貯金を解約することができます。

・被相続人名義の口座は、判明しているものは全て相続手続きを行い、解約まですることが通常です。では、もし相続人が誰も知らない銀行の口座が残されていて、そのまま放置されてしまったらどうなってしまうのでしょうか?

・その場合、放置された口座は「休眠口座」になります。

《休眠口座とは》
休眠口座とは、10年以上入出金がないものを言います。
相続発生から、誰にも知られることがないまま放置された銀行口座は、名義人へ通知後、休眠口座となり、その中のお金は民間公益活動に利用されることになります。

・つい先日、私の母親から電話があり、「突然、銀行から休眠口座のお知らせが届いたよ」との話し。それが、10年前に私が作るようにお願いした口座で、使わなくなって、私がすっかり忘れていたものでした。残高が3万円ちょっとあったので、解約してもらい母親のお小遣いにしてもらいました。

・母の記憶力はたいしたもので、「確かに、あなたに頼まれて作った口座ですよ!」と。まだまだ、長生きしてもらいましょう!(笑)