親の借金などの負債も相続するの?相続財産にはどんなものがありますか?

・相続人は、被相続人の死亡により相続財産を相続することになります。

・相続財産を知っておかないと、相続税の申告や相続放棄など期間が決まっている手続きがありますので、その手続きの判断にも影響を及ぼします。

・そもそも相続財産とは具体的には、どのような財産のことを言うのでしょうか。また、被相続人に借金があれば、その借金は相続することになるのでしょうか…。

・相続財産を把握するには、その範囲を知ることが必要です。

・今回は、『相続財産』の基本知識についてみていきたいと思います。

・また、不動産、預貯金などの相続財産の調査方法についても述べていきます。

・50代60代、そして定年後の親の相続で慌てないように、覚えていきましょう。

目次

  1. 1.相続財産とは何なのか
  2. 2.相続財産と相続放棄
  3. 3.相続税申告においての相続財産
  4. 4.生命保険金と相続の関係
  5. 5.相続財産の探し方
  6. ①預金通帳や郵便物から調査開始
  7. ②遺品を調査
  8. ③集めた資料から情報整理
  9. ④被相続人名義の不動産の調査方法「名寄帳」
  10. ⑤マイナスの相続財産(遺産)も調査が必要

1.相続財産とは何なのか

・相続財産とは、被相続人が死亡時点で所有していた一切(プラス財産・マイナス財産)の権利義務のことをいいます。

・権利だけでなく、義務も引き継がれることに注意をしなければいけません。もし被相続人に借金があれば、その借金も相続することになります。

・例えば、被相続人が消費者金融から100万円の借金をしていれば、その借金も相続人が相続します。

・一般的なものとしては被相続人の預貯金、現金、不動産、証券、車、貴金属などがあります。この中で預貯金、不動産、証券、車などは相続手続きが必要になります。

・現金や貴金属や自宅にある家財など登録等必要ないものは、相続手続きは不要です(相続税の問題は発生します)。

・基本的には被相続人が所有していた権利や義務すべてが相続財産となり、借金などの債務も相続しますので、相続をした相続人は当然支払い、履行義務を負うことになります。

相続財産に該当するもの一覧 
【プラス財産】
不動産
 自宅の土地や建物、畑、山林、投資用不動産(区分マンション・アパート)、事業用不動産(店舗・事務所)、他
現金・有価証券・債権
 現金、銀行に対する預貯金債権、株式、出資金、配当金、小切手、敷金返還請求権、貸付金請求権、損害賠償請求権、慰謝料請求権、他
動産
 自動車、骨董品、貴金属、高級時計、家財、他
その他
 ゴルフ会員権、電話加入権、他
【マイナス財産】
債務
 借金、住宅ローン、買掛金、損害賠償債務、未払家賃、他
税金
 未払いの税金、滞納中の税金、他
その他
 未払いの電気ガス水道代、医療費、他

2.相続財産と相続放棄

・相続手続きの中で、期限が存在するのが相続放棄です。

・相続放棄とは被相続人の権利義務を相続する権利、すなわち相続権を自らの意思で放棄する手続きの事を言います。

・相続放棄は相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述しなければなりません。

・これを検討する上で、相続財産が具体的に分からないと被相続人の権利義務を相続することにより自分が借金を背負うのか、それとも財産を得るのか分からず相続放棄をした方がよいのか、しなくても平気なのか決断できなくなってしまいます。

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3.相続税申告においての相続財産

・相続放棄と同様に相続税の申告においても相続財産の理解は重要です。

・相続税の計算をする上で相続財産の範囲が分からないと何を相続税の対象財産にすればよいのか分からず、正確な相続税の計算が行えません。

・当然、税務署は正確な申告を要求しますので、相続財産から漏れたものがあれば追加で申告・納税が必要になることもあります。

・相続財産について正しく理解して相続税申告をするためには、以下の内容もおさえておきましょう。

・みなし相続財産。みなし相続財産とは、法律上の相続財産には該当しないが、性質的には相続財産に近いため例外的に相続財産に含めて一定額を相続税の課税対象とするものです。みなし相続財産として典型的なものは、生命保険金や死亡退職金です。

・名義預金。申告漏れしやすいものに、「名義預金」と呼ばれるものがあります。名義預金とは、被相続人が家族名義で貯めていた預貯金等のことで、被相続人名義ではありませんが、相続財産に含めて相続税申告をしなければいけません。

・葬儀費用。そもそも葬儀費用は、喪主が負担すべきもので相続債務ではありません。しかし、税務上は葬儀費用を相続財産のマイナス財産に含めて計算することができます。葬儀費用分の税金を減らすことができますので、必ず相続財産に入れて申告するようにしましょう。ただし、慣例上、領収書がでないものもありますので、ご自身で支出を管理してメモに残すようにしておきましょう。

葬儀費用として認められるか
○:お布施、戒名料、読経料遺体運搬費、火葬・納骨・埋葬費、その他葬儀費用
×:初七日や四十九日等の法要料、墓地代、香典返し代

・家財一式。家財も相続財産に含まれますので忘れずに相続税の課税対象としましょう。「うちに高価な家財なんてないよ。」という声が聞こえてきそうですが、テレビやエアコンなど、多少の金額がつくものはきっとあるはずです。高価な家財がない一般家庭の場合には「家財一式10万円」「家財一式30万円」といった形でざっくりとした計算にすれば差し支えありませんので、家の大きさに決められたらいいと思います。

4.生命保険金と相続の関係

・相続において、生命保険金についての取り扱いがどうなるのか気になるもの。

・通常、生命保険金は相続財産ではなく、保険契約に基づき受取人が受け取るものでああるため、受取人固有の財産として考えることができます。

・よって、生命保険金が遺産分割の対象とならず、原則として遺産分割協議書への記載は不要ということになります。この場合には保険契約に定められた受取人が生命保険金を受け取ることとなります。

・保険契約者=被保険者=保険受取人といった形の保険契約の場合には、被相続人の相続開始により、相続人が受取人となり生命保険金請求権を相続財産として取得する考えのもとで、相続財産となる考え方もありますが、これは現在でも議論が続いており確定的な答えはありません。

・生命保険金が、受取人固有の権利となるため遺産分割の対象とならないことは前述したとおりです。しかし、生命保険金は相続財産として権利上扱われないとしても税務上は「みなし相続財産」として課税の対象となります(相続税法3条1項1号)。

・とはいえ、生命保険金の全額が相続税の対象となるのではなく、ある一定の金額については非課税にすることが認められています(相続税法12条1項5号)。

・相続税が自分にどの程度かかるのか、いくらくらいの相続税がかかるのかについてを知るためには、不動産や預貯金といった一般的な相続財産だけではなく、みなし相続財産についても理解していないとそもそも計算することができません。

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5.相続財産の探し方

・一般的に相続財産(遺産)の大きなウエイトを占めるのは、不動産と預貯金関係です。

・不動産は人によって所有していない場合もありますが、預貯金口座を所有していない人は世の中に存在しないはずです。

・つまり、相続財産(遺産)を探すというのは主に不動産と預貯金ということになります。

①預金通帳や郵便物から調査開始

・順番としては、まず亡くなった方の預金通帳と郵便物から調査をしていきます。

・預金通帳を見れば、ある程度のお金の流れを把握することができますから、大まかな財産を予想することが可能です。

・預金通帳から引落しで固定資産税の支払いがされていれば、不動産の管轄市区町村を知ることができますし、株式の配当金があれば、証券が預託されていることも判明できます。

・また、故人宛の郵便物からも様々な情報を得ることが可能です。銀行や証券会社から届いている封書やハガキは重要な情報となりますので、しっかりと探してみてください。

・そこまで行けばあとは記載された連絡先に問い合わせをして相続財産(遺産)の調査をします。

②遺品を調査

・亡くなった方の遺品の中から、金融機関の通帳やキャッシュカード、信託銀行や証券会社からの封筒等を発見することで、取引している金融機関の支店まで調べることも可能です。

・また、市役所や都税事務所などから届いた固定資産税の通知書があると、被相続人所有の不動産も把握することができます。

・固定資産税通知書には、土地の地番や建物の家屋番号まで記載されているので、その地番などをたよりに法務局で登記簿謄本を取得しましょう。

・ちなみに、現在の法務局はオンライン化されていますので不動産所在地を管轄する法務局まで行く必要はなく、ご自身の最寄りの法務局で登記簿謄本を取得することが可能です。

③集めた資料から情報整理

・集めた資料から情報を整理しましょう。簡単な表にまとめて、財産を整理してみるのもお勧めです。

・銀行や証券会社は、合併等を繰り返して昔と商号が変更されていることがあります。故人の通帳の中に知らない金融機関名があれば、インターネット(金融機関HPの沿革、Wikipedia)で調べてみると現在の金融機関名を判明させることができるはずです。

・各相続財産の問い合わせ先がわかったら各相続財産の問い合わせ先がわかれば後は必要書類を集めて調査開始しましょう。

・それぞれの請求先によって必要書類が異なりますので、それはご自身で問い合わせして確認した方が確実です。

・とはいえ、一般的な必要書類もありますのでそれは下記に列記します。

<一般的に相続財産の調査に必要となるもの>
被相続人の死亡を証する戸籍謄本 被相続人が亡くなっていることを確認できないと相続人からは請求できないため。
・請求者が相続人であることを証する戸籍謄本 相続人からの請求であることを確認してもらうためです。
・請求者する相続人の印鑑証明書 期限を指定されることがあるので3ヶ月以内のものを用意してください。
・相続財産(遺産)の資料がわかるもの(通帳や手紙など) 向こうも資料があった方が確認しやすいので持参しましょう。
・その他本人確認資料 免許証など顔写真付きのものが確実です。

④被相続人名義の不動産の調査方法「名寄帳」

・不動産を調査する手段の一つとして「名寄帳」というものを役所で取得する方法もあります。

・この名寄帳には、その役所内にある課税不動産の全てが載りますので不動産の調査方法としてはとても便利です。

・ただし、この名寄帳には課税されている不動産しか載りません。つまり、非課税の不動産がある場合には載ってこないのです。

⑤マイナスの相続財産(遺産)も調査が必要

・マイナス財産(債務や借金のこと)についても、預金通帳や郵便物を中心として調査していきます。

・口座から定期的に引き落とされているものや消費者金融やローン会社からの封筒にも注意してください。

・住宅ローンについていえば、もし被相続人が団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローンの残債は一括完済になりますのでその手続きも必要になります。一括完済されれば、相続人は住宅ローンを支払う必要がなくなりますので忘れずに団体信用生命保険の請求手続きを行うようにしてください。

・なお、通常は住宅ローンを組む際に、金融機関が自宅不動産へ抵当権を設定しております。団信にて完済した場合もこの抵当権を抹消しなければならないので、通常は相続登記(名義変更)とあわせて抵当権抹消手続きを司法書士に依頼することになります。 

・様々な商品が存在する投資財産についていえば、やはり遺品を隈なく探索することが調査の近道と言えるのではないでしょうか。