定年後の資金準備で「WPP」とはなんですか?

1.「WPP」を知っているだけで不安が減少

「WPP」とは、老後資金を賄うためキーワードです。

第一生命 谷内陽一さんや日本の社会保障政策の第一人者である慶應義塾大学の権丈善一教授が提唱しています。

「W」は、Working longerの頭文字で、出来る限り長く働くことです。次の「P」はPublic pensionで公的年金のこと。二つ目の「P」はPrivate pensionで個人年金・私的年金を表しています。

定年後の老後の生活をまかなうための準備としてはこのW⇒P⇒Pの順番で考えるべきだということです。野球のピッチャーに例えると、出来る限り長く働くのが「先発」、個人年金(貯金など)で「中継ぎ」し、公的年金は終身受給のため「抑え」という関係になります。

老後資金のことで不安にならない人はいないと思いますが、いたずらに不安におびえたり、不安をあおる輩・業界方面の方々に負けない(笑)ためには、冷静に一つずつ考えてみるのが大切です。

2.準備の第1は長く元気に働くこと

働くことは最も単純にお金を増やす手段です。死ぬまで現役でバリバリ働いていられるなら老後資金はいらないのです。つまり、体力のことを別にしたら、老後ではありません。

わたしもそうですが、今の時代は、60歳で定年を迎えたとしても、その後は平均寿命まで20年~30年という期間があります。体力も、知力も、気力もまだまだ世間の波風に耐えられる状態です(笑)。70歳くらいまで働いても不自然ではありませんし,実際,働きたいと思っています。(厚生労働省は2021年4月実施の「改正高年齢者効用安定法」において、会社員が70歳まで働ける環境を整備し、企業に努力義務とするよう定めました。)

働くことがなぜ第1かというと、資産運用とは違って確実に所得を得る手段だからです。たとえば、60歳から再雇用で65歳まで働いて、年収300万円、5年で1500万円、ここから社会保険料・税金が引かれるとはいえ、確実に1000万円以上の手取りが残ります。

さらに65歳からはもう少しゆっくり働いて、年収120万円、70歳までの5年で600万円、手取り480万円になります。合計で1500万円の手取り収入は大きいです。

これを、金融商品への資産運用などで利益を出そうとしたら、大きなリスクを取ることになります。せっかくの退職金をすべて失う結果になるかも知れません。あてにならない運用よりは、働くほうがずっと安心です。

最初に考えることは可能な限り長く働くことなのです。

3.2番目は公的年金で確実に終身をカバー

公的年金(ここでは老齢基礎年金、老齢厚生年金)の最大のメリットは終身で給付があるということです。そこで「抑え」投手なわけです。

つまり、寿命が何歳になろうが、死ぬまで年金が支給されるということですので、安心感は大きいです。

また、長く働くことで、年金の受給開始を遅らせることもWPPの重要な考えです。

「繰下げ支給」という制度があり,通常は65歳が支給開始時期ですが,これを先に延ばして受給金額を終身で増やすことができます。もちろん,60歳までの「繰上げ支給」もできます。実態は,繰上げ支給の方が圧倒的に多いです。

繰下げ支給の増加額ですが毎月0.7%。現在の繰下げは70歳までで最大42%増。2022年4月からは,75歳まで繰下げが可能となり最大84%の増額となります。これが生涯続くことになります。

たとえば,65歳の受給額が月額20万円,年間240万円の人が70歳まで繰下げ受給すると,月額28.4万円,年額340.8万円になります。これは大きいですよ!

わたしは,65歳時の収入にもよりますが,可能な限り“繰下げ”したいと思っています。

65歳で再雇用契約が終了すると,給与収入がなくなり公的年金がその分をカバーするようにバトンタッチしてくれます。公的年金だけで生活の全てをまかなうのは難しいにしても,基礎的なベースになるのはお分かりいただけると思います。

「ねんきん定期便」は必ず開封していますか?そこには、見込み額が載っていますので、是非確認してみてくださいね。

この他にも,知っておきたい大切な仕組みがありますので,稿を改めて書いていこうと思っています。

4.3番目は私的年金で余裕を持たせる

私的年金は,2種類あります。

ひとつは,サラリーパーソンの場合であれば退職金や企業年金といった「退職給付制度」です。もうひとつが個人で日頃から準備する「貯蓄や投資」です。

定年後の生活準備を考えるうえでは,この「退職給付制度」の金額や仕組み,税制などを知っておくことがたいへん重要です。

しかし,以外にも自社の退職給付制度をあまり知らないサラリーパーソンが多いのが実態のようです。まずこちらを知ることが先ですね。

その上でもうひとつの私的年金である自分の貯蓄や投資を考えるのがよさそうです。貯蓄で足りない場合,個人型確定拠出年金(iDeCo)やNISAを活用するという位置づけですね。

5.まとめ

「WPP」とは,「W」はWorking longerの頭文字で、出来る限り長く働くことです。次の「P」はPublic pensionで公的年金のこと。二つ目の「P」はPrivate pensionで個人年金・私的年金を表していました。

準備の第1は長く元気に働くことでした。

そうして,公的年金の最大のメリットは終身で給付があるということです。死ぬまで年金が支給されるということですので、安心感は大きい。また、長く働くことで、年金の受給開始を遅らせることもできます。

自分の勤め先の「退職給付制度」をしっかり知っておくことが,貯蓄や投資を考える第一歩でした。