定年後に「幸せ」でいられるために大切なことは?

1.「幸せ」のカギは「○○性」

笑いと健康が相関するということは事実なのです。笑うことで免疫力が高まり、身体が内部から元気になるという研究結果もあるそうです。

心の底から笑えるということは、とても幸せなことですね。幸せを感じながら生きている人は病気になりにくいというデータもあります。

笑いよりももっと「幸せ」に影響があるものは何でしょう。

企業・事業体で働くビジネスパーソンを対象に行ったアンケート調査の結果から、最も幸せを感じる人が多かったのは経営者・役員の人たちだったといいます。その次に幸せを感じていたのが管理職の人たち。そして、最も不幸せを感じていたのは一般の社員でした。

社長さんたちの幸福感が高い理由の一つは、主体的に仕事をしているからだと考えられています。

自分が何をすべきかを常に考え、どのように仕事を進めるかも自身で決めています。誰から指示されるのではなく、自分の判断で動いています。

それに比べて一般社員は、多くの場合、上からの指示で動いていますね。「やらされ感」がつきまといがちです。

『「やらされ感」こそ幸せを奪う元凶』だと、前野教授は主張しています。

一般社員のなかには、主体的に仕事に取り組んでいる人たちもいます。与えられた仕事であっても、自分なりのやり方を探しつつ進めていく。指示されたからには主体的に取り組んでいく。そういう人は、充実感と幸福感を味わっています。結果として、そういう人の多くが管理職に出世していきます。

主体的であることと自由であること。この二つが、会社員時代の幸福感に大きな影響を及ぼすことがわかります。定年後は、これらを取り戻すチャンスです!

また、男性よりも女性のほうが幸福感が相対的に高い傾向があることがわかりました。

欧米と比較するとまだまだ女性の社会進出は遅れているわけですが、幸福度は世界の女性と比べても決して低くありません。

男性は「一生働いて家族を養わなければならない。一度入った会社は定年まで勤めるのが当たり前!」、そんな労働感を引きずっていて、昔の価値観に縛られている人が多い。そんな不自由さが不幸せにつながっているではないかとします。

一方で女性は、従来型の働き方をすべきという強迫観念が男性よりも弱く、精神的に自由で主体的に生きているように思えるとします。

もうひとつ必要なのは、主体的に生きる心に火を点す燃料にあたるものです。それは積極性を生み出す「自己肯定感」だといいます。

あまりにも自己肯定感が低いと、つい他人任せの生き方になりがち。自分で物事を決めるのではなく、いつも誰かに決めてもらう。誰かからの指示や命令がないと行動できなくなってしまいます。

自分自身のことを自分が認めていると自信が湧き、積極的に取り組むことができます。「失敗しても大丈夫!大事なことはチャレンジすること!」と自分自身を勇気づけることさえできます。

2.大切な心の力には何があるの

前回、幸せになる心の条件は4つあって、「やってみよう因子」、「ありがとう因子」、「なんとかなる因子」、「ありのまま因子」が大切だと述べました。

それぞれの因子に関連する「心の力」で、特に定年後に大切なものに絞ってとりあげていきます。

「やってみよう因子」。一つ目は「没入力」。我をわすれて夢中になれる「何か」を見つけることです。没入していた時間が充実感を生み、強みや幸福感へと結びついていきます。ワクワクすることを探すには、年齢を重ねても好奇心を忘れないことですね。

二つ目は「成長意欲」。成長するためには努力が必要です。受動的ではなく自らイキイキ、ワクワクと学ぶことが大切。成長するとは変化することです、変化を恐れず変化を楽しみましょう。

「ありがとう因子」。一つ目の力は「利他力」。自分を大切にしつつ、相手のことを考える力です。自分の利益「自利」とみんなを幸せにする「利他」とが丸く満ちるバランスの取れた利他心。定年後はどちらも同時にやりたいものです。

二つ目は「許容力」。“○○のせい!”を裁ちきり、今の自分を受け入れる力。定年で会社から成仏したあとは、過去の自分、今の自分を受け入れてあげます。過去は見方によって変えられると気付くでしょう。また、自分が100%正しいということも、誰かが100%悪いということもないのだと受け入れます。

「なんとかなる因子」。一つ目は「挑戦力」です。「とりあえずやってみる」の精神で飛び込む勇気。成功するかどうかはわからなくても、行動しなければ何も始まらない。定年後の人生後半は、「やらぬ後悔より、やる後悔」で行きましょう。悩んだら行動した方が楽しいですよ。

二つ目は「楽観力」です。これはたくさんの不幸をひっくり返してしまう最強カード。楽観的な性格や考え方が強ければそれだけで幸福度が高くなります。「収入は少ないけれど、まあ何とかなるだろう。」「友達は少ないけれど、そのうち増えるだろう。」「今は悩みを抱えているけれど、いつかは解決するだろう。」「明けない夜はないさ。」。楽観力はジョーカーです。

「ありのまま因子」。これは「マイペース力」です。「あるがまま力」「自分らしさ力」もしくは「自分軸をもつ力」。幸せは他人と比べるものではないと先にも述べてきました。比べていたら、本当の幸福感は得ることができません。「幸せ比べ」から心を解放してくれる一番の要因が「マイベース力」です。

3.「幸せ」は結果だけでなく原因でもある、だから「幸せ」でいましょう!

幸せとはいろいろなことが起きてその結果として幸せになったり、不幸になったりする、という思考方法になっています。

しかし、幸せな心の状態の人は、創造性が高く、生産性が高く、利他性が高く、やる気があり、チャレンジ精神があり、健康で、長寿であるなど前野教授の研究で分かってきたと述べています。

幸せな心の状態になっていると、たくさんのいいことが起きる。そして、その結果として、さらに幸せになっていくことができます。つまり、「幸せ」とは結果だけでなく原因でもあるのです。

しかし、どうしたって気持ちが落ち込むときがありますよね。そういったときには、自分の感情と程よい距離をとることが大切です。

自分自身を俯瞰して見てやることを「メタ認知」といいます。自分が今、抱いている感情を冷静に俯瞰してみる。まるで他人事のように、自分自身を眺めると、問題が整理できて対策が思いつきます。心が軽くなり、幸福度が高まります。

最後に、「知りたい」「行ってみたい」という気持ちに素直に従ってみるというのがオススメです。

いろいろなことを面白がる。新しいことに興味をもち、自分が知らないことを知りたいと思う気持ち。「おもしろがり力」は人が生き生きと生きるための基本の態度です。好奇心は年齢とともに失われるものではありません。

しらけた考え方をしたり、斜に構えたりせずに心から面白がること。その気持ちが定年後の人生に、幸せを運んでくれると思います。あなたはどう思いますか?

4.まとめ

「幸せ」のカギは「主体的」であること。反対に不幸のもとは「やらされ感」でした。

幸福感を高める「心の力」で、特に定年後に大切なものとして、「没入力」「成長意欲」「利他力」「許容力」「挑戦力」「楽観力」「マイペース力」の7つを提示しました。

「幸せ」とは結果だけでなく原因でもある。幸せな心の状態になっていると、たくさんのいいことが起きる。そして、その結果として、さらに幸せになっていくことができます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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