「国保」の「保険料が高い!」と感じるのはなぜか?(定年後の健康保険を考える前に)

1.公的医療保険の種類

日本では「国民皆保険制度」となっており、すべての国民が何らかの公的医療保険、公的年金に加入することが義務付けられています。

公的医療保険の場合、会社員は勤務先を通じて被用者のための健康保険(「被用者保険」といいます)に加入しています。会社員の健康保険は、おもに中小企業の従業員を対象とした全国組織である「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、一つの企業、または同業種の企業が集まって独自に運営する「組合管掌健康保険(組合健保)」のいずれかで、入社すると勤務先が加入のための手続きをしてくれます。

筆者は、今は青色の保険証の「協会けんぽ」に加入しています。以前の勤め先では、「組合健保」に加入していました。

健康保険に加入しているおかげで、保険証を見せれば全国どこの医療機関を受診しても(これを「フリーアクセス」といいます)、かかった医療費の一部を負担するだけで必要な医療を受けられますね。

一方、「国民健康保険」に加入できるのは被用者保険に加入していない自営業者、年金生活者、無職の人などです。

このように、74歳までの公的医療保険は大きく2種類に分かれ、「国民健康保険」と「被用者保険」(記協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)のどちらかに加入することになります。

たとえば会社勤めをしていた人が退職すると、被用者保険の任意継続を行わないかぎり、国民年金保険に切り替わります。この話しは稿を改めて書きたいとおもいます。

75歳以上になると、職業にかかわらず原則として後期高齢者医療制度に移行します。

公的医療保険は掛かった医療費を公費と自己負担とで賄う仕組みです。自己負担割合は加入者の年齢によって異なります。

 ・75歳以上:1割(現役並みの所得者の場合は3割)
 ・70~74歳:2割(現役並みの所得者の場合は3割)
 ・70歳未満:3割
 ・6歳(義務教育数学前)未満:2割 

これによると、現役世代の自己負担割合は3割負担となります。これは国保、被用者保険いずれも原則として同じ負担割合です。

2.国民健康保険(国保)の保険料の決め方

国保は市町村国保といわれますが、その理由は保険者が都道府県および市町村だからです。

被保険者数は平成31年3月末で約2752万人。平均年齢は53.3歳。ちなみに協会けんぽは、被保険者2376万人、被扶養者1564万人、計3940万人。平均年齢37.8歳。

保険料ですが、全国平均で一人あたり年額8.8万円、一世帯あたり年額13.7万円(介護納付金は含まない)。協会けんぽは、11.7万円、事業主負担込みで23.3万円。

実際の保険料率は、各市町村がそれぞれの実情を踏まえて定めることができます。

「所得割」と「均等割」というものが代表的な計算方法です。

所得割とは前年の所得に応じて保険料を計算する方法です。均等割は、所得にかかわらず世帯あたりの加入者の人数に応じて均等に保険料を負担する計算方法です。

その他にも、世帯割」、平等割、資産割などを採用している自治体もあります。
・計算方法は

  国民健康保険料=所得割額(加入者全員の前年の所得金額×保険料率)+均等割額(均等割額×加入者数)

自治体のあいだで格差が問題になります。医療費は保険料、公費、自己負担で賄うことになるため、医療費が高くなれば国民の負担も増えていきます。

市町村国保の保険料も医療費の影響を受けて地域差があることがわかっています。最高が徳島県で最低が埼玉県、両者の間には1.42倍の格差があります。

3.保険料が高く感じる理由は?

一つ目は、保険料の負担割合です。被用者保険の場合、保険料の半分は事業主側が負担しています。

たとえば、毎月給与から2万円の保険料が引かれている場合、その人の実際の保険料は4万円で、残りの2万円は勤務先が負担しています。

国保では保険料の全額を加入者が負担することになります。これが定年退職したときに、国保に切り替えた場合、保険料が高いと感じる理由のひとつです。

二つ目は、扶養家族の保険料の掛かり方です。被用者保険は収入(標準報酬月額)に応じて保険料が決定しますので、扶養家族がいても保険料は加入者本人1人分です。

国保は加入する世帯の所得と加入者数によって保険料が決まるため、扶養家族が多い家庭ではその分保険料も高くなります。所得が少なくなっていても保険料は増える場合さえあります。

三つ目には、加入者の年齢層が高い点です。2017年度の厚生労働省「我が国の医療保険について」でみると、被用者保険の平均年齢は協会けんぽで37.5歳に対して、国保は52.9歳と大きく異なります。

これにより、一人あたりの医療費が国保では協会けんぽ17.8万円の2倍の36.3万円となっています。一方で、所得は協会けんぽ151万円の約半分の86万円です。

年金生活者や所得のない人も国保の加入者に含まれているため、自営業者などの所得のある人の保険料負担が大きくなっています。

4.まとめ

今回は、公的医療保険、特に「国民健康保険」についてみてみました。

日本では、公的医療保険への加入は義務であること。会社員は協会けんぽなどの被用者保険、自営業者、年金生活者、無職の人などは国保に加入します。

国保は市町村国保といわれ、保険者が都道府県および市町村です。実際の保険料率は、各市町村がそれぞれの実情を踏まえて定めることができます。

国保の保険料の全国平均は一人あたり年額8.8万円、一世帯あたり年額13.7万円(介護納付金は含まない)。協会けんぽは、11.7万円、事業主負担込みで23.3万円。

保険料が高く感じられる理由は、一つには保険料の負担割合です。被用者保険の場合、保険料の半分は事業主側が負担しています。

二つ目は、扶養家族の保険料の掛かり方です。国保は加入する世帯の所得と加入者数によって保険料が決まるため、扶養家族が多い家庭ではその分保険料も高くなります。

三つ目には、加入者の年齢層が高い点です。その結果、自営業者などの所得のある人の保険料負担が大きくなっています。