✅40代50代の中高年の転職が増えています!✅「即戦力になりたい」という想いや自負が強い人こそ馴染めない!🌈「メタ認知」で一歩引くのが効く?🌈コミュニティーとしての職場を取り戻そう?

1. やっと見つけた転職先で仕事の成果を出すことが難題!「メタ認知」が大切!


・先の『PRESIDENT Online』の記事では、「ここ10年間で、44歳以下の転職者数は増減率98%とほぼ横ばいだが、45歳以上の転職者数の増加率は、景気変動の影響を大きく受けながらも145%と増加した」「「近年、転職が増えた」といった世間の一般的な感覚は、実質的にはほとんどが中高年の転職増加によってもたらされている。」と、小林氏は述べています。

・企業にとっても、給与の高い中高年層は常に悩みのタネであり続けてきた。50代前後となった団塊ジュニア世代を厚く抱える多くの企業が70歳までの就業機会確保の努力義務化(高年齢者雇用安定法の改正)とコロナ禍に直面した今、大手企業を中心に希望退職募集が増加している。

・中高年になると転職先を見つけるのも一筋縄ではいきません。まずは、その大きな壁を乗り越えたことには、祝意を述べたいと思います。

・しかし、転職した後にも若い頃とは異なる特有の苦労が待っているそうです。「たいへん、おめでとうございます!」ともろ手をあげて喜んでばかりもいられない現実があるといいます。

・中高年層に独特の困難を一言でいえば、転職後の仕事の「曖昧さ」だ。パーソル総合研究所の研究では、中高年層の転職者の多くが、入社後3カ月経っても「仕事内容や責任範囲が明確に理解できていない」人が多いということが分かっています。

・人は、「何をやればいいのかわからない」状態では、仕事の成果をなかなか出すことができません。

・中高年層に「役割曖昧性」が生じやすい理由は、、40代以上になると中途採用は「ミッション型」になるからだそうです。

・より幅広い業務や新しい仕事が求められるようになる。また、組織の変革や事業の転換といった、まだ社内で誰もやったことのないミッションを、外部の経験によって補おうとすることも多い。必定、新しく複雑なミッションを目的とするので事前に転職後の仕事内容を具体的に示すことは難しい。曖昧さの余地を大きく残すものになってしまいがちです。

・中高年層は、それまでに培った仕事経験やスキルがあり、転職後も「即戦力になりたい」という想いや自負が強いことも多いのだと思います。

・転職後には、これまでの仕事のやり方がそのまま通用することはほとんどありません。わたしも、今の会社で経験しました。

・大概の人は、職場においてさまざまな行動のチューニングを行い、業務や組織に慣れていきます。転職者は、人間関係の築き方から、毎日の働き方や学びの習慣まで、広い範囲で細かな学習棄却(アンラーニング)を行い、そうした行動変容が入社後のオンボーディングを促進させます。

・しかし、中高年の転職者になるほど、このアンラーニングができません。これまでの長い経験から学んだことを「捨てる」というのは一種の痛みを伴います。それ故、なかなか過去の学びを「手放せない」人が中高年層には多くいらっしゃいます。

・「前にいた会社では」とか「前職では」というように、転職前の会社でのやり方を何かにつけて引き合いに出し、新たな職場でのやり方に馴染もうとしない人たち。これではどんなスキルや能力を持っていても、活躍することは難しい上、周囲もサポートする気をなくしてしまいます。

・このような、前のめりし過ぎる中高年が、冷静になるには、二つのことが必要ではないかと思います。

・一つには、一歩引いて、自らを俯瞰する「鳥の眼」が必要ではないかと思います。心理学的にいえば、「メタ認知」です。

・メタ認知とは、「認知していることを認知すること」です。たとえば、自分が何かをしているときに、自分の中のもう一人の自分が冷静に見ているように感じた経験はないでしょうか。

・こうした自分が能動的に行っている言動について、もう一人の自分が客観的な立場から、その言動を調整したり調和したりする能力をもって、「メタ認知」といいます。

・転職後の仕事先に、自分の前の会社のルールを持ち込んでも、簡単に合意を得られるものではないことは、冷静に考えたらわかります。

・しかし、「成果を急いで出したい!」というヒートアップしている頭の状況では、周囲の反感も耳にも、眼にも入りません。

・一歩下がって、自分自身を天井から、また、空から、天から見降ろしてみる。そういう感覚が「メタ認知」です。「おーおー、また、熱くなっているぞ」「焦ってばかりいても、周りが付いてきていないよ」と、もう一人の自分が今の自分に語り掛けるのです。

・これによって、自分を客観視することが可能となり、冷静に自分の言動を見ることができるようになります。

2.「有意味感」の裏にあるのはコミュニティーとしての職場づくり


・そして、もう一つは、「有意味感」のもとになる職場メンバーとの質の良い関係を築くことです。

・最近、某自動車関連の大企業から40人程度の小企業に転職した37歳男性のお話しを読みました。

・彼は、本当に辞めていいのか、後悔しないのかと、すごく悩んだそうです。共働きで、子供もいます。前の会社に残っていた方が安定した生活を維持できます。でも、前の会社でやりたいことをやるには、結局、出世競争に勝たなきゃダメなんだな、って考えたら、なんかつまらないな、って感じました。このまま、あの会社にいても、自分がなんら変わらない気がしたそうです。

・そして、転職した今の会社は、組織的にはものすごくフラットで、すごく風通しがいい。どんどん新しいことができるし、失敗してもそこから挽回できる空気があるのだそうです。

・人数が少ない分、全員が全力でやらないと仕事がうまく回らない。自分が求めていた手応えがすごくあり、思い切って転職して良かったと、30代の彼は思っています。

・会社の「社会的地位」と、自分の「市場価値」をきちんと分けて考え、肩書に関係ないキャリア人生を耕しているのです。

・この話しに、「有意味感」を感じました。

・「困難やストレスは自分への挑戦であり、立ち向かうことに意味がある」という感覚で、有意味感が高いと前向きに対処できます。また、「意味がある」という感覚は、自分がやっている・携わっている仕事などに向けられることもあれば、自分の存在意義に向けられることもあります。「これは私がやらなければならない仕事だ」という信念と、揺るぎない「人生の価値判断」の礎になるのが有意味感です。

・「チーム力」という言葉で表された自分を取り囲む身近な世界の他者との、「質のいい関係」が極めて重要です。

・人は自分にアテンションしてくれる他者がいて、初めて「自分の存在意義」を見いだし、日々の仕事に誇りを感じながら取り組むことで仕事に意味を見いだすことができるのです。

・翻って、冒頭の転職先の職場で、孤立に近い状態になる中高年を考えてみよう。

・中高年層には、「役割曖昧性」といえる複雑なミッションを目的とする役割が期待されており転職後の仕事内容を具体的に示すことは難しい。それでいて、初めて接するような「アウェイ」の雰囲気の中で、「即戦力になりたい」という想いや自負が強いことも多いのだと思います。

・そして、「前の会社では…」発言を繰り返すと、どうしても孤立に向かいます。

・しかし、いかに優秀な人でも、自分一人で仕事を完遂するのは困難であり、組織の中のさまざまな人がチームにならなければ大きくて重要な仕事を完成させることはできません。

・忘れてならないのは、自分を取り囲む身近な世界の他者との「質のいい関係」が前提条件であるということです。

・「有意味感」を感じるにも「他者との質のいい関係」が重要なのです。

・これを構築するには、コミュニティーとしての「職場」づくりに回帰することではないでしょうか。

・最近は「自立した個」を重んじる風潮があります。社会的存在である人間にとって、唯一無二の「個」などあり得ません。

・人類は「互いに依存しあう集団」をつくることで生き延びてきたわけで、有史以来かわりません。それが「コミュニティー」です。

・職場という森を豊かにするのは、そこで働く「人」です。転職先で、行き詰っている中高年は、一歩引いて、職場で質のいいつながりを作るところから始める必要があるのではないでしょうか。