✅その「承認欲求」は劣等感から出ているかも! ✅50代は「悪い承認欲求」から“成仏”しましょう!🌈他者との比較を止めてこれからは過去の自分を超える?

・少し古い記事ですが、7/27に配信された『リクナビNEXTジャーナル』において、アドラー心理学を提唱する㈱小倉広事務所代表で心理カウンセラーの小倉広さんが、「承認欲求」について述べていました。

・「良い承認欲求」と「悪い承認欲求」の論を展開していて、大変に興味深い内容です。

・「承認欲求」とは、心理学者アブラハム・マズローが『マズローの欲求5段階説』で示したものだということは、多くの方がご存じだと思います。

・そこで、50代60代の定年世代における「承認欲求」について、一緒に考えてみたいと思います。

1.「良い承認欲求」と「悪い承認欲求」の違い

・よく耳にする「承認欲求」という言葉。実際にはどういう欲求なのか。

・承認欲求というのは、心理学者マズローの言葉をもとに語られます。マズローの概念における承認欲求とは、「人から認められたい」「ほめられたい」「尊敬されたい」という誰もが持っている欲求のことです。

・マズローには、「人間は自己実現に向けて成長していく動物である」という理論があります。それについて、小倉広氏は以下のとおり説明しています。

 その成長の段階は、下から「生理的欲求」、「安全欲求」、「社会的欲求」があり、4つめに「承認欲求」、頂点に「自己実現」がある『マズローの欲求5段階説』で示されています。 マズローは、「人間は、本質的に持っている無意識的な“欲求”に背中を押され、突き動かされていく」と考えているのです。

・人間というのは、社会的動物ですから、社会の中でしか自分の“生”や生きがいを実感できない動物です。

・人間は、社会の中で人からどう見られるのか、人はどう反応するのかを見ながらでしか、自分自身の気持ちを感じることができないのです。

・社会の中でしか自分を実感できない人間が、より良い感覚になれるのが、「ほめられる」「認められる」「尊敬される」こと。それがマズローの言葉で一般的に言われるところの承認欲求です。つまりは、人が承認欲求を持つのは、社会の中で生きていることを実感したいからなので、決して承認欲求自体が悪いことではありません。

・現代社会においては、人々の承認欲求は強まっていると言えるでしょう。その理由として考えられるのは、情報量が多すぎることだと、小倉氏は述べます。今の世の中では、他者との比較が生まれ、劣等感が過剰に生まれます。それによって、良くない承認欲求も生まれやすくなっているのだと、いいます。

・承認欲求には「建設的な使い方(良い承認欲求)」と「非建設的な使い方(良くない承認欲求)」(以下、わたしは「悪い承認欲求」と呼びます)があるのだそうです。建設的というのは、より良い結果につながる使い方です。非建設的とは、より悲惨な方向に向かう使い方です。

<良い承認欲求の使い方>
・勉強を頑張る(社会に貢献する可能性が増す)
・スポーツを頑張る(人々が感動する。「自分もスポーツを頑張ろう」と思う人が出てくる)
・チームのために貢献する
・誰かの手伝いをする
・家族のために頑張る など

・自分一人だけでなく、自分とみんな、あるいは社会全体が良くなる方向にエネルギーを使うことが、良い承認欲求の使い方なのだそうです。

・一方、悪い承認欲求はどうかというと、以下です。

 <悪い承認欲求の使い方>
・スタンドプレーで自分だけ目立とうとする
・誰かの足を引っ張る
・マウントをとる
・暴走族や不良になって暴力や窃盗を行う
・入れ墨を入れて相手を怖がらせようとする
・営業成績を上げるために、仕事の締め切りを破る など

・自分だけが良くて周りには迷惑となってしまうのが、悪い承認欲求の使い方です。このような承認欲求が生まれるのは、自分のことしか考えていないことが原因だといいます。

・承認欲求は劣等感の裏返しとも言えます。劣等感は誰もが持っている感情なので、多少であれば問題ありません。ですが、過剰に持つようになると、悪い承認欲求が暴走し、非建設的な方向へ向かってしまうのです。

2.そろそろ「承認欲求」の出世競争から降りて“成仏”しましょう⇒自己実現ステージへ


・ここまでが、小倉広氏の承認欲求の解説です。わかりやすいですね。

・マズローの欲求5段階説でわたしたちが、誤解しやすい点の一つは、一つの欲求が満たされて初めて次の欲求を生じ、欲望の階段を順次上がっていくと理解されることがある点です。

・ですが、マズローは単に、人間の持つ基本的な欲求に対し相対的な優先度を基準に階層を構成したにすぎず、5段階のピラミッド型にしたのは別な研究者です。下位の欲求が100%満たされなければ、次の上位欲求が生じないというわけではありません。

・一般的な人は、「生理的欲求」が85%、「安全欲求」が70%、「社会的欲求(所属と愛の欲求)」が50%、「承認欲求」が40%、「自己実現欲求」が10%程度それぞれみたされていると、マズローは分析しています。

・また、階層は人によって優先度が変わるのです。時代、環境によっても大きく左右されます。たとえば。仕事が人生のすべてで、会社での出世に大きな価値を置く人の場合、「社会的欲求(所属と愛の欲求)」より「承認欲求」が優先されます。一方、自分のやりたいことをやるのが人生と思っている人は、「承認欲求」より「自己実現欲求」を優先しています。

・定年後まで会社や組織での出世や人事評価の不満を引きずる人が少なくありません。わたしも危うくその一人になりかけましたが、うまく断ち切ることができました。

・「人と比べる」「人と競争する」ことから意識的に“降りる”ことで、新しい人生に向き合うことができます。気持ちを切り替えて、「承認欲求」の矛先を変えるということに繋がります。

・仕事優先、会社優先の中高年サラリーパーソンは多かれ少なかれ、「出世」に関する自分への期待、「承認欲求」を持っているのではないでしょうか。これで、どんどん自分をすり減らす人が多いです。

・出世するかしないかには、単に能力ばかりではなく運もあります。運も実力のうちです。

・しかし、出世しないからといって「人生の敗者」とはいえません。会社だけが人生ではないのです。ましてや、定年後の人生は長いのです。

・早く、出世レースや出世待ちの「満員列車」から降りて、次の人生に向かって準備する方がはるかに良い承認欲求です。この消耗戦から早く降りることです。

・そして、新しい自分だけの「生き方」を作りだす方向に能力と気力体力を向けていくのです。つまり、会社や上司に「認められたい承認欲求」から早く“成仏”した方が幸せになれます。

・“成仏する”とはどういう意味なのか?…ひと言で言うと“成仏する”とは、いつまでも会社人生にこだわらないで新しい人生に向かう、ということ。

・人生の目的は会社で出世することではなく、「幸せになること」です。いつまでも会社での地位や立場に固執するのではなく、そういうものは早く捨て去るべきです。

・わたしは55歳で成仏しました(笑)。もう少し早くするべきだったと思います。次第に、出世した同僚、友人・知人をうらやむ気持ち、妬む感情が静まるようになりました。「人それぞれ、幸せならいいではないか」と思えるようになると、肩の重荷が降りたような良い気分になりました。

・精神科医・心理学者のアルフレッド・アドラーはそのアドラー心理学において、成功を求めて人と競争するのが「対他競争」、幸福を求めて前の自分より進化していくのを「対自競争」と言ってます。

・成功を求める意欲が人との競争心やライバル心を生み、人を成長させることは否定するものではありません。アドラーはこれを認める一方で、過去との自分との競争も重視しています。

・これは、過去の自分よりよくなろうとする向上心につながります。

・会社生活も終盤に入ったら、他者との比較や競争から降りて、自分自身の成長を求めるマインド、つまり「自己実現欲求」を優先する方向に転換しましょう。いつまでも会社での仕事や地位にこだわるのではなく、新しい自分を創ることに一歩を踏み出したいものです。

・60歳、もしくは65歳で会社を辞めたあともまだ20年~25年ぐらいは人生は続くのですから、新たな仕事で頑張るのもよし、趣味を中心に思い切り楽しむもよし、楽しく過ごすことができます。

・過去に生きるのではなく、未来に生きることが何よりも大切です。