「介護離職」をしないために必要なことは?~介護と仕事の両立のために~
たいへん重要な問題ですが、介護と仕事の両立について考えてみます。「介護離職」という言葉も社会問題化しましたね。
引き続き、お読みいただければ嬉しいです。
目次
- 1.「介護離職」の現状
- 2.介護保険サービスに介護保険外サービス、民間サービスを組み合わす
- 3.職場で使える両立支援制度を調べてみましょう
- 4.まとめ
1.「介護離職」の現状
2015年に第二次安倍政権は、アベノミクス「新・三本の矢」の一つの福祉対策として「介護離職ゼロ」を掲げました。
その後、菅政権にも、現在の岸田政権にも引き継がれてきました。
2020年には、厚労相が改めて、「介護離職ゼロ」を目指すと明言し、その具体策として、「仕事と介護の両立支援」や「介護の受け皿の整備」、処遇改善による「介護業界の人材確保」を挙げていました。
介護離職とは何か、簡単にまとめると、親など家族の介護を理由に会社・勤務先を退職することです。その後は、無職になったり、パートでの短時間勤務になったりします。
一般的にいって、収入が大きく減ってしまいますので、家族の生活を支える経済的な基盤が揺らいでしまいます。一人で介護を担っている場合は、貯金と親の年金だけで、自らの生活費と親の介護費用を賄うことになります。
いかに介護離職による経済的なリスクが大きいかが分かりますね。
総務省の『就業構造基本調査』をもとに明治安田生命総合研究所がまとめた資料によると、2017年の介護離職者数は約9.9万人。
男性約2.4万人、女性約7.5万人と、介護離職に至るのは女性の方が圧倒的に多く、約8割を占めています。
また、働きながら家族の介護をしている人の割合を年代別でみると、40代で3.8%、50代で10.1%、60代では9.0%です。50代から60代の10人に1人は介護と仕事の両立を強いられている状況です。
40代から50代は管理職など責任ある立場を任せられる年代。親の介護で長期休暇が必要になったり、遅刻や早退が発生すると、キャリアアップに支障を来す場合もありそうです。
介護と仕事の両立はたいへんですが、介護者、その家族の生活を守るため何とか離職しないで、仕事を続けることを考えた方がいいというのがわたしの思いです。
2.介護保険サービスに介護保険外サービス、民間サービスを組み合わす
どんな方法があるか。はじめに、これまでも本ブログで取り上げましたが、在宅介護を助ける各種のサービスを活用する方法があります。
介護保険サービスの一つである訪問介護やデイサービス、ショートステイなどをケアマネージャーと相談しながら、上手に組み合わせて利用します。
例えば、家を留守にすることになりますので訪問介護を中心に据えて、出張などがあるときはショートステイ、仕事の繁忙期でほとんど介護できない時期は長めのショートステイを利用するなどの対策があります。
仕事との兼ね合いを考えながら無理のないケアプランを作るのがいいです。
また、介護保険サービスだけでは対応できない場合は、保険外サービスや民間サービスを利用します。自己負担額が増えることになりますが、「お金で解決できる!」と割り切ることも大切です。
見守りサービスや、配食サービス、家事代行サービスなど、内容も充実してきていて便利なサービスがありますので、うまく使い分けます。
3.職場で使える両立支援制度を調べてみましょう
増え続ける介護離職への対策として、国は支援制度を整備してきました。
一つは、会社が介護者に配慮すべき義務です。具体的には、時間外労働を事業主は1カ月24時間、1年150時間を超えてさせてはいけません。このほかにも、深夜業を制限する義務、所定労働時間を短縮する義務、賃金において不利益な取扱いをしない義務、転勤は介護状況に配慮する義務があります。
大きな柱は「介護休業制度」と「介護休暇制度」です。
介護休業制度とは、対象家族1人につき、1回につき通算93日まで、3回取得することができます。介護が始まったときに利用すれば、介護サービスの手配など準備にも利用できますね。タイミングを考えて計画的に使います。
介護休業をしても介護休業給付として、月額賃金の67%を受け取ることができます。申請手続きは原則として、勤務先を経由してハローワークへ行います。
介護休暇制度とは、対象家族1人につき、1年で5日まで取得が可能です。1日単位や半日単位での取得が選択可能。
4.まとめ
今回は、介護と仕事の両立について考えてみました。
「介護離職」は年間9.9万人発生しています。8割が女性の方で、圧倒的に多数を占めています。
介護と仕事の両立はたいへんですが、介護者、その家族の生活を守るためにもできる限り仕事を続けたいですね。
サポートする仕組みがいくつかありました。ご家庭の状況に合わせて利用できるサービスや制度を積極的に使うのがうまくいくコツのようです。
特に、職場の「介護休業制度」と「介護休暇制度」を。