親が亡くなって遺産相続することになったけど、相続税は掛かるのだろうか?概算してみましょう!

・相続人を調べ、相続財産の評価もやって、財産目録ができました。ここまでやってくると、次には、相続税が気になってきます。もらうばかりでなく、出費も伴うのが相続です。

・「遺産相続することになったけど、相続税は掛かるのだろうか?掛かっても払えないよ!」

・このような疑問を解くためには、 自分で相続税が計算できると便利です。 相続税を正確に計算するためには高度な知識が必要なケースもありますが、 簡単なケースであれば自分でも相続税を計算することができます。

・今回は、遺産分割協議の前に、自分で相続税が概算できるように簡単に説明してみます。納税額にもよりますが、相続税がかかるとなると、納税資金の準備も必要になります。そうなると大事です。将来的に、遺産を相続してどれぐらい相続税がかかるか心配になっている人もぜひご覧ください。

・50代60代、そして定年後に高齢の親御さんが亡くなったときに慌てないよう、覚えていきましょう。

目次

  1. 1.「基礎控除額」以下なら課税されません!
  2. 2.相続税が課税される財産、課税されない財産
  3. 2-1 課税される財産
  4. 2-2 課税されない財産
  5. 2-3 相続税が課税される財産からマイナス計上するもの
  6. 3.相続財産に土地が含まれるときは要注意!
  7. 4.課税価格を計算してみる!

1.「基礎控除額」以下なら課税されません!

・最も覚えておくべき大切なことは、相続財産が一定額以下なら課税されないということです。
 
・相続税が課税されない金額を「基礎控除額」といいます。
 
・相続する財産の評価額の合計(「財産目録」が効果を発揮します)から算出した課税価格が、基礎控除額以下であれば、相続税はかからず、申告の手続きは必要ありません。
 
・相続財産の合計をザっと概算してみて、基礎控除額を超えないと確信できれば、相続税の申告や納税の手続きについては考えずに済みことになります。

<相続税の基礎控除額の計算方法>
 3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額
 計算例:法定相続人が3人
 3000万円+(600万円×3人)=4800万円 ⇒これ以下なら相続税はかからず、申告も不要!

・例えば、配偶者と子2人が相続人なら、法定相続人の数は3人です。子3人だけでも3人となります。「法定」なので、実際に相続した人の数を加えるなどして増やすことはできません。

・国税庁の「相続税の申告要否の簡易判定シート」では、相続人の人数と遺産の金額を入力すると相続税の申告が必要かどうかがわかります。概算の金額で入力しても差し支えないので、活用しましょう。

国税庁のホームページ

2.相続税が課税される財産、課税されない財産

・相続税は、相続した財産であれ全てが課税対象になるというわけではありません。課税対象になるものとならないものがあります。

2-1 課税される財産

・被相続人から相続した現預金や不動産など形のある財産のほか、著作権のように形として表れない権 利も金銭的な価値があれば相続税が課税されます。被相続人がお金を貸していた場合は、その貸付金にも相続税が課税されます

・課税されるもの:現金、 預金、 土地、 家屋、株式、債券、 貴金属、 宝石、 書画骨董、 自動車、 貸付金、 営業権、 著作権 など

・また、相続した遺産ではないものの、被相続人が亡くなったことをきっかけに受け取った財産にも相続税が課税されます。

・具体的には被相続人が保険料を払っていた死亡保険金や、勤務先から支給された死亡退職金などがあてはまります。このような財産は「みなし相続財産」と呼ばれます。

・みなし相続財産として課税されるもの:死亡保険金、 死亡退職金 など

・生前贈与された財産で課税されるもの:相続時精算課税制度を利用して贈与された財産、 死亡前3年以内に贈与された財産

2-2 課税されない財産

・被相続人から相続した財産の中には、相続税を課税することがふさわしくないものもあります。

・たとえば、仏壇や仏具のように日常的に礼拝しているものや、国や地方公共団体などに寄付した財産に相続税は課税されません。

・課税されないもの:墓地、墓石、仏壇、仏具、神具、国や地方公共団体などに寄付した財産 など

・また、相続人が受け取った死亡保険金や死亡退職金は、一定の金額が非課税になります。相続人でない人が受け取った場合は非課税にはなりません。

・一定額が課税されないもの:相続人が受け取った死亡保険金や死亡退職金。一定額とは「500万円×相続人の数」の金額。

・死亡保険金は、本来的には相続財産に含まれませんが、相続税の課税対象とされています。(前述した「みなし相続財産」)

2-3 相続税が課税される財産からマイナス計上するもの

・遺産を相続するときは、現預金や不動産など価値のある財産だけでなく、借入金など価値としてはマイナスになるものも相続します。被相続人に借金があれば相続人が返済しなければなりません。

・相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金や未払いの税金などは、課税対象の財産からマイナス計上します。また、葬儀にかかった費用もマイナス計上します。

・課税対象の財産からマイナス計上するもの:借入金、未払いの税金、葬式費用 など

・これらの債務や葬式費用は、相続人や包括受遺者が負担した場合にマイナス計上することができます。

3.相続財産に土地が含まれるときは要注意!

・相続財産の合計が、基礎控除額を超えるかどうか微妙なときは、もっと厳密に評価額を計算する必要があります。ここは、別稿で書こうと思います。

・相続財産に土地が含まれる場合は要注意です。

・土地の評価額は思った以上に高額になることも多く、法定相続人が3人の場合の基礎控除額である4800万円を都市圏では、超えることが珍しくありません。

・土地が含まれる場合は、厳密な評価額を弾き出すのは無理としても、路線価図なども調べ、少し詳しく概算をしてみる必要があります。

https://note.com/embed/notes/n0bca6757242a

4.課税価格を計算してみる!

・実際にどのくらい相続税が掛かるのか計算する段階です。

・相続税の算出は、4つの段階からなります。①課税価格の計算、②相続税総額の計算、③各人の相続税額の計算、④各人の納付税額の計算です。

・①課税価格の算出をみていきます。②~④はより詳しく別稿で記載します。

・計算の手順は以下のとおりです。

相続財産+みなし相続財産-非課税財産-債務および葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産+相続時精算課税に関わる贈与財産

・相続開始前3年以内の贈与財産とあるのは、相続によって財産を取得した人が、その相続前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けていたときは、その贈与の価格をその人の相続税の課税価格に加える、というものです。

・相続時精算課税制度とあるのは、贈与により財産を取得した場合に、その財産の価額の累積が2500万円以下であれば贈与税が無税となり、2500万円を超える場合には、その超える部分の金額の20%を贈与税として納付する制度です。相続が発生したときには、この贈与によって取得した財産の累積額を相続財産に加算し、相続税額を算出します。すでに支払った贈与税額を控除した金額を相続税として納付します。

・以上から導きだされた額から、基礎控除額を差し引きます。これによって相続税が掛かる財産価格が導き出されます。

・したがって、課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合、相続税はかかりません。

・さきほどの法定相続人3人のケースでは、課税価格の合計が4800万円以下であれば相続税は掛からず、4800万円を超えていれば課税されます。

・課税価格が基礎控除額を超えていそうな場合は、本格的に相続税の計算が必要になってきます。それは、次の機会にアップしたいと思います。